「幸せで健康な人生の秘訣は「良質な人間関係」~Conflict Avoidance(葛藤回避)を抜けて親密で深い関係性を手には?~」

私たちを幸せに、そして健康にするものは、
何だと思いますか?

高収入、高学歴、いい企業への就職でしょうか?
違います。

食事の質や毎日のエクササイズでしょうか?

とても大切ですが、それも十分ではありません。

では、それらをすべて足し合わせたもの、
でしょうか?

それも違います。

それでは何でしょう?

あなたは、どう思いますか?

アメリカで1938年にスタートした
ハーバード成人発達研究は、85年以上にわたる
縦断的調査によって、幸せな人生、豊かな人生に
ついて、今も解き明かし続けています。

この、3世代にわたる1300人超の人々への調査
によって、次のことが明らかになりました。

「良質な人間関係」こそが、人を幸せにし、
健康さを保つ、と。

英語の”wellbeing(ウェルビーイング)”は
「幸せ」や「健康」と訳されますが、その核心
は良質な人間関係にあったのです。

サステイナブル(持続可能)な幸せと健康の
要素として、運動や食事、お金や人間関係がある
のではない。

人間関係の質の良さこそ、ウェルビーイングの
「条件」だと言うのです。

ハーバード成人発達研究は、科学的エビデンスに
基づいてこの画期的な発見を明らかにしました。

良質な人間関係とは、何でしょうか?

関係療法的には、「情緒」を大切にした
親密な関係です。

人類学者のC.カスタネダ的には、ハートのある
「心温まる(heartwarming)」関係です。

『魂のケア(Care of the Soul)』の著者T.ムーアは、
魂のある関係は「友情」に表れるといいます。

新しい人間性心理学を実践するD.メアンズ&
M.クーパーは、「深い関係あるいは関係性の深み
(relational depth)」が、良質な関係の鍵だと
述べます。

良質な関係には、2方向へのまなざしが
欠かせません。

1つは「横」方向へのまなざしです。

それは、親密な人、家族、友人との「情緒」を
大切にした、「ハートの温まる」関係です。

2つは「縦」方向へのまなざしです。

それは、親密な人、家族、友人との「魂」のある
関係、あるいは「深み」のある関係です。

私たちは横と縦の両方に着目し、立体的で
良質な関係の育成を支援しています。

ここで質問です。

(a)あなたは、情緒はあるのに、深みのない
人間関係をイメージできますか?
その関係を、どう思いますか?

(b)深みがあっても、情緒や親密さのない
人間関係については、いかがですか?

(c)情緒があって親密で、かつ深みのある
人間関係に関しては、どうでしょうか?

(c)が、良質な関係です。

セラピーでは、情緒もなく、深みもない薄い
人間関係、友人関係、家族関係、カップル・夫婦関係
に苦悩する人の相談が少なくありません。

それは、冷たく、さみしく、不幸せで、不健康な
関係です。

共依存、DV的関係、SM的関係、腐れ縁が、
それに当たります。

また、表面的で騒々しく空(から)元気からなる
関係も、人を孤独で不幸せ、不健康にしかねません。

完全主義のはびこる冷酷な人間関係も、危険です。

気分を浮つかせる不倫は、中身の希薄な妄想的関係です。

ウェルビーイングをはばむ関係の中核にある
のが、『葛藤回避(conflict avoidance)』です。

人が2人いれば、2人の間に「葛藤」は、
「必ず」生じます。

なぜでしょうか?

その理由は、2人にはそれぞれ別々の個性があり、
異なる文化、歴史を背負っているからです。

人が「親密」になって、心理的距離が「縮まれ」ば、
異なる個性、文化、歴史が、早晩、浮上し、
顕(あら)わになります。

すると2人には、衝突、誤解、すれ違い、葛藤が
生じます。

2人のどちらかが悪いからではありません。
それは、「自然」な過程です。

が、日本では、衝突、誤解、すれ違い、葛藤は、
「すべて」悪いもの、と誤解されがちです。

あなたは子どものころ、親や先生に、
「ケンカはやめなさい!」「ダメでしょ!」「早く
仲直りしなさい」などと言われませんでしたか?

ケンカに、良質なものや必要なものがあることを、
教わってこなかったのでは、ないでしょうか?

相談の「談」は、分解すると「言」+「炎」
から構成されています。

それは、「炎」を燃やすやり取り〜たとえば衝突、
誤解、すれ違い、葛藤〜を、「肉体」や「腕力」で
はなく、「言葉」によって行うことを表しています。

2人が「相」まみえて、葛藤を避けず、「言葉」で
対決をすること、それが『相談』ですが、この
トレーニングを積んでいない人が少なくありません。

子どものころからの教育で、ケンカはいけないこと、
ダメなこと、と教えられ、経験を積んでいないと、
そこから「葛藤回避」が生まれます。

幸せと健康の土壌となる人間関係を、はばみます。

葛藤回避とは何でしょうか?

それは、相手とぶつかりそう、争いごとが起こりそう
になると、その場から心理的に逃走し、もめごと、
すれ違い、葛藤をごまかすことです。

自分の本音を無視し、見捨て、表面上相手に合わせる
こと〜たとえば忖度(そんたく)、空気に従うこと、
「あうん」の呼吸がいいと妄信すること〜です。

が、その実、妄想の中で、相手をブツブツ、ネチネチ
と批判することです。

結果、欲求不満を、関係の中で抱え続けることに
なりかねません。

それは自分の、そして相手の葛藤能力を見下している
からです。
信頼していないためです。

なぜ、そんなことになるのでしょうか?

葛藤が、恐いから、不安だからです。

葛藤が、痛みを伴うものだからです。

葛藤を通して、傷つくこと、拒絶されることを
嫌うからです。

葛藤を、みっともない、恥ずかしいと妄信している
ためです。
世間体(せけんてい)を気にするからです。
「葛藤する」とは、大声で怒鳴ったり、
相手を威嚇したり、罵(ののし)ったり、
腕力や暴力で相手を脅すことではありません。

相手と言葉で、「真実」について、ちゃんと
向き合い、やり取りすること、やり抜くことです。

精神分析家のS.フロイトやM.クラインは、
それがどんなに困難でしんどいことでも、
「真実」ほど、私たちの心を癒し、人生を良質に
するものはない、と述べました。

真実と向き合うのは、大変です。

だから私たちは、人との関係においても、
また自らの内面で自分との関係においても、
葛藤を回避しがちです。

あなたは、ウェルビーイングの土壌である「良質な関係」
作りに、ご関心がありますか?

そのために、葛藤回避をやめる方法、人間関係や
自分の心ときちんと向き合う方法については、
いかがですか?

自分と相手とを「見捨てない」、上質なやり取りや
コミュニケーション法に、関してはいかがでしょう?

そうしたことを身につけると、あなたの葛藤力、相談力を
向上させることができるでしょう。

それは、あなたに個人的にプラスになるだけでなく、
セラピー、コーチング、コンサルティングにおける
あなたとクライエントとの関係作り、および
クライエント自身の関係育成の応援にも有益です。

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