ウェルビーイング(well-being)再考

ウェルビーイングは、セラピーを進めるうえで、大事なキーワードです。

その訳語は、決まっていません。コンテキスト(文脈)によって、異なる訳語が当てられます。
が、基本的意味は、「well(良く)+being(存在する)」です。

well-beingは、身体のコンテキストでは、「健康」と訳されます。
心の文脈では、「幸せ」となります。

コミュニティや社会的コンテキストでは、「福祉」。
哲学では、「存在(論)」です。

スピリチュアリティの文脈では、「井戸や泉(well)の存在(being)」です。
スピリチュアル・セラピーは、内面に井戸を掘り、泉の発見を目指します。

ウェルビーイングは、ギリシャ語の「ユーダイモニア(eudaemonia)」から来ています。それは、「長期的あるいは持続可能な幸せ」を意味すると解され、ファミリービジネスにピッタリの言葉です。

ユーダイモニアは、語源的には、「良い(eu)神霊(daemonia)」です。
哲学者ソクラテスは、良い神霊と対話し、良い神霊に導かれて生きることを常としました。なぜならソクラテスにとって、ユーダイモニアは、「理性」や「論理性」を体現していたからです。

psychology(心理学)は、語源的には「心、魂(psycho)のlogy(論理)」です。
ユング心理学、サイコシンセシス、内的家族システム(IFS)療法は、心や魂に、ソクラテスと同様の論理や理性を見出していきます。

エイブラハム・マズローは、ユーダイモニアを参考に、ウェルビーイングや自己実現そして自己超越について考えました。
「人間」は、英語でhuman-being(存在すること)です。
しかし、現代では、human-doing  (~すること)が、多いと言われます。

人は、「すること」、たとえば成果を上げたり、成功することでは、幸せになれない。
そう述べたのは、哲学者の三木清です。
三木は、「存在すること」が、幸せになること、と述べました。

存在することの幸せがわからなければ、金儲けで成功しても、ビジネスで成果を上げても、幸せになれない。

三木はまた、存在すること(being)の幸せを知らない人が、すること(doing)を通じた「娯楽」によって、疑似的幸せあるいは快楽を追い求める、とも述べています。

快楽は、即時的、短期的、刹那的で、「へドニア(hedonia)」と呼ばれます。興奮、有頂天、ハイな気分、ご機嫌、ウキウキ、ドキドキ、ワクワクが、へドニアです。

ソクラテス、プラトン、アリストテレスといったギリシャの哲学者は、へドニアでない、真の幸福すなわちユーダイモニアを志向しました。

私たちは、ファミリー・セラピーの目的の1つを、家族の、ファミリービジネスのウェルビーイングを支援すること、と考えています。

今回は、ウェルビーイングの多彩な側面について、述べさせていただきました。

Top