理事長メッセージ ファミリービジネスの未来を共に創りましょう
●ファミリービジネスは伴走者を求めている
私は11月17日の年次総会・理事会において理事長に就任しました武井一喜です。3年間の設立準備を経て2012年のFBAA設立以来、理事として活動してまいりました。
本来、ファミリービジネスは代々一貫した価値観で経営され、非同族企業よりも高い業績を上げ、社会から信頼される存在であることは、世界の多くの経営学者が認めるものです。
わが国では「ファミリービジネス」という言葉は広く認知されるようになってはきたものの、いまだに同族企業に対する社会的なイメージは否定的なニュアンスが付きまとい、企業の不祥事と共に報じられている状態です。
協会設立以来14年が経ちますが、地域の雇用と文化を支えているファミリービジネスが、後継者難による廃業件数が増えるなど、わが国ではこの間のファミリービジネスをめぐる環境は大きく変化しています。事業承継を単に先代のコピーをつくること考えるのではなく、例えば世代交代の期に所有と経営を分離して、オーナー家はオーナーとしての立ち位置に特化してビジネスを支えていく、という選択肢もあります。このような取り組みは、単に「事業承継」だけを考えるのではなく、世代を超えて発展するための、長期的な視野に基づく、ファミリーとビジネス、それにオーナーシップを見据えた、息の長い支援が必要になります。
FBAAが提案するファミリービジネス・アドバイジングは、ファミリー、ビジネス、オーナーシップを一つのシステムと見て、その全体を支援するものです。そのためには、一つの専門領域だけでは解決できない複雑な課題が多くあり、多分野の専門家との連携が必要です。
FBAAはそのような多分野の専門家が集い、知識、経験を共有するプラットフォームであり、世代を超えて持続的に進化し、発展をしていくビジネスと、それを支えるオーナーファミリーと共に、時には客観的な立ち位置で、時には親戚のように親身になって伴走していく、MTA(Most Trusted Advisor:最も信頼されるアドバイザー)の団体です。
●FBAAのビジョン
FBAAは次の3つのビジョンを掲げています。
第一に、わが国のファミリービジネスがオーナー経営者にとって誇りであり、社会からも敬意を持たれる存在となること。
第二に、すべてのファミリービジネスに、一家に一人のファミリービジネスアドバイザーがいる状態を目指すこと。
そして第三に、FBAAがアドバイザーにとって信頼される支援プラットフォームとしての役割を果たすことです。
FBAAは、世代を超えた持続的な発展を目指すファミリービジネスオーナー、経営者の皆様、そして、信頼されるアドバイザー(MTA)として長期的なファミリービジネスへの伴走支援を志す皆様のための協会です。
このビジョンに参加していただき、共に日本のファミリービジネスの未来をつくる仲間を心よりお待ちしています。
Author Profile
キャラクター商品メーカーを経て家業の寝具製造卸会社に勤務。基幹業務システム設計導入、リストラプラン策定実施、新規事業立ち上げの後、4代目社長。その後IT関連の起業に参加。'03年WellSpring設立。'24年2月にセブン・スプリングス株式会社設立、代表取締役・ファミリービジネスコンサルタントとしてコンサルティング・講演・研修・執筆活動を行っている。
著書:「同族経営はなぜ3代で潰れるのか?~ファミリービジネス経営論~」クロスメディア・パブリッシング、「ほんとうの事業承継」共著 生産性出版 他