事業承継のスケジュール表作成のすすめ
早速ですが、「事業承継のスケジュール表」を作られている経営者様はどれだけいらっしゃるでしょうか?
「事業承継のスケジュール表」とは現在から事業承継が完了するまでの予定年数を記載し、それぞれの年の事業計画や大きな方針、現経営者の年齢、後継者の年齢、株価移動の施策、持株割合の推移などを記載した表です。
ここでの最大の気付きは「あまり時間がないこと」に気付くことだと私は考えます。数年度の事業承継のイメージがわきますので、それまでに行っておくべきことの多さに気付かれます。
まずは難しくお考えにならずにまずは現在の社長の年齢と後継者様の年齢を記載し、社長がとりあえず完全引退したい年齢を記載してみて下さい。
そのとき、後継者様は何歳になっていますか?
残された時間は充分ですか?
引退年齢に無理はありませんか?
ではそれまでに何を行うかリストをつくってみて下さい。
現時点で思いあたる、考えられるだけの項目をあげてみて下さい。
以下は項目の例です。
承継時期をどうするのか
内容)とりあえず事業承継の予定時期をきめる。
その際に承継後の現社長の会社内の役割をどうするのか。また引退後には現社長はなにをするのかをイメージすること
後継者をどうするのか
内容)承継者は親族からは親族外からか、経営者にふさわしい資質はどうきめるか、また後継候補者にその資質はあるのか、その他後継者決定にあたり留意しなければいけない事項はなにかないかを考えること。
後継者の育成をどうするのか
内容)後継者育成は社内で行うのかそれとも社外で行うか。後継候補者がまだ学生であったり未熟と考えられる場合、育成をどう計画的に行うかを考えること。
社内体制をどうするのか
内容)承継をふまえた組織及び幹部の処遇を検討すること、また後継者を支える人材をどう採用し育成するかを考えること。
自社株式や事業用資産の承継を考えること
内容)社長の財産の分割方針を決めること。特に自社株式と事業用資産については後継者を中心にどのような方法でどのような時期に譲渡を行うかを決めること。またその際に他の相続人への配慮をどう考えるか検討しておくこと。
これらは一例ですが一つ一つをしっかりと準備するためにはかなりの検討が必要だと思いますし、各会社の状況により検討事項はまだまだ様々あると考えます。
それができたら作成されたリストの項目を引退までのどの時期に行うかリストの横に記載して下さい。
いかがですか?
実行可能でしょうか?
そしてこの表を定期的に確認しスケジュールの進行具合をチェックして下さい。
また、さまざまな情報収集や考えの変化にあわせて訂正、書き直しを行いその時々にあわせて納得感が一番あるものにして下さい。
(状況も変わりますのでベストなものを最初から作るのは難しいです。)
単純な表ですが効果の大きなものだと確信しています。
また実行にあたっては、各項目ごとに誰が責任者で、いつまでにどこまでやるかを明確にし、事業承継を考える定例会議等の中でその取組状況をチェックすることが有効であると考えます。
また、FBAAではおなじみのスリーサークルの「ファミリー」・「ビジネス」・「オーナーシップ」の3つのサブシステムの観点から経過年毎のあるべき状況をイメージし事業承継計画に落とし込んでいくことでより納得感のある計画作成につながると私は考えます。
最後にファミリービジネスにおける事業承継の計画では、ビジネスとファミリーとの利害関係が相反する取り組み項目が多いので、ファミリー内だけで計画の取組をチェックするのは難しいケースが多いです。
その場合にはファミリービジネスの特性を理解しているアドバイザーから計画立案や取組チェックのフォローを受けることも有効であると考えます。