ファミリービジネスにおけるスリーサークルモデル
ファミリービジネスにおけるスリーサークルモデル
スリーサークルモデルが示すように、ファミリービジネスの繁栄と永続のためには、複雑な関係を調整する必要があります。
ビジネスという、成果を基本とし、能力が求められるシステムと、ファミリーという、感情を基本とし、平等が求められるシステム。
ここに一般企業と同様、オーナーシップというシステムが加わり、ファミリービジネスシステム全体を形作ります。
ファミリーとビジネス、この二つのシステムが重なり合いがファミリービジネスの強味を生み出すものにもなりますが、同時に混乱を生み出し、弱味となる原因にもなります。
この、相矛盾する二つの重複をマネージし、そこから強味を生み出すためには、当事者の高いコミュニケーション能力が求められます。
しかし、多くの場合システム内のメンバーだけでは、互いに遠慮しあったり、思い込みが災いしたりして、行き詰まりを起こすことになります。
その中に、ファミリービジネスアドバイザーという客観的、中立的な第3者が加わることで、システムに変化を起こすきっかけを与えることができます。
ファミリービジネスシステムへの参加
ファミリービジネスアドバイザーとして関わりを持つ私のクライアントのほとんどが、
「今までできなかった話合いができるようになった」
「話してはいけないと思っていた問題をテーブルに乗せることができ、安心感が増した」
「家族としての自分の立ち位置が明確になった」
「暗礁に乗り上げていたものが動き出した」
と、話します。
ファミリービジネスアドバイザーの役割の第一歩は、このような変化の仕掛け人としてクライアントのファミリービジネスシステムに参加することです。
私の体験では、具体的な助言を行う前、クライアントがアドバイザーを招き入れようと決めた時から、既にファミリービジネスシステムに変化が起き始めるのを見ることができます。
変化の仕掛け人として参加し、クライアントと共に新たな可能性を探求し、その上で専門家としての助言を行い、望ましい状態へ進むプロセスを支援すること、これがファミリービジネスアドバイザーの役割であると考えます。
チームで行うコンサルティング
ファミリービジネスシステム全体に対する助言のためには、多様な専門分野の知識が必要になります。
複雑なシステムであるファミリービジネスに対しては、一つの専門分野だけの助言では太刀打ちできないからです。
資格認定講座では、スリーサークルシステムに基づくアドバイジングのために以下の4つの分野が必要であるとしています。
1.法務
弁護士、司法書士、行政書士、
2.金融・財務
会計士、税理士、金融、保険、ファイナンシャルプランナーなど
3.経営管理
中小企業診断士、社会保険労務士、経営コンサルタント、組織開発コンサルタントなど
4.行動科学
エクゼクティブコーチ、セラピストなど
当然ながら、一人でこれらすべての専門分野に精通するのは不可能です。
そこで、FBAAでは、他分野の専門家との協働を推奨しています。
ファミリービジネスアドバイジング資格認定証を持つ他分野の専門家と必要に応じてチームを組んでクライアントを支援する。
そのためのパートナーを見つける場としてもファミリービジネスアドバイザー資格認定講座をお役立ていただきたいと思います。
Author Profile
キャラクター商品メーカーを経て家業の寝具製造卸会社に勤務。基幹業務システム設計導入、リストラプラン策定実施、新規事業立ち上げの後、4代目社長。その後IT関連の起業に参加。'03年WellSpring設立。'24年2月にセブン・スプリングス株式会社設立、代表取締役・ファミリービジネスコンサルタントとしてコンサルティング・講演・研修・執筆活動を行っている。
著書:「同族経営はなぜ3代で潰れるのか?~ファミリービジネス経営論~」クロスメディア・パブリッシング、「ほんとうの事業承継」共著 生産性出版 他