FBAA設立の原点とビジョン

2012年、FBAAは日本におけるファミリービジネス支援者の育成を目指して設立されました。日本のファミリービジネス学会の創設から3年後のことです。当時、国内では“ファミリービジネス”という言葉も概念もほとんど認知されておらず、体系的な支援体制も存在しませんでした。

設立の起点は、私が馬場氏(現、FBAA理事)と参加したFFI(Family Firm Institute)2009年の世界大会にさかのぼります。そこでもう一人の日本からの参加者、西川氏(現・FBAAファウンダー・名誉理事)と出会いました。馬場氏は古くからの友人で、地域を代表するファミリー企業の経営企画を担い、世代交代支援に深く携わってきた実務家でした。西川氏はグローバル規模のファミリー企業の非ファミリー経営者としての任務を終え、コンサルティング領域に活動を広げていた時期でした。両氏のファミリービジネスを俯瞰してきた視点は、日本での支援体制構築において重要な示唆を与えるものでした。

私たち3人は、FFIで論じられている知見は、まさに日本のファミリービジネスに必要なものであると考え、帰国後も継続的に議論を重ね、長寿企業大国である日本の状況に適したファミリービジネス支援の仕組みを検討しました。共通していたのは、「3円モデルに基づく、事業と家族とオーナーシップを包括する支援が不可欠であること」、そして「ファミリー企業に対する社会的理解と敬意を高める必要がある」という認識でした。設立の準備やメイン事業のファミリービジネスアドバイザー資格認定プログラムの設計には、日本大学の階戸氏(FBAA理事)をはじめ、FBAA参与の平林氏、岡本氏、女ケ沢氏にも参画していただき、ファミリービジネス研究の草分けのIvan Lansberg博士、Kelin Gersick博士、日本経済大学の後藤俊夫特任教授、FBN Japanの高梨一郎理事長を顧問に迎え、助言をいただいています。

その議論から生まれたFBAAには、以下のビジョンを掲げています。

  • ファミリービジネスに対する誇りと敬意を日本の社会に広げること
  • “1社にひとりのFBA(Family Business Advisor)”という支援体制の構築
  • 士業・金融・心理・マネジメント等の専門家が協働できる支援プラットフォームの形成

FBAAはこのビジョンの実現に向けて学習・研究・実践の場づくりを進めています。複雑化する事業承継やガバナンス、家族間の調整、次世代育成といった課題に対し、専門分野を越えた協働が求められる時代において、FBAの存在意義はますます高まっています。

ファミリービジネス経営者の皆さま、そして支援に携わる専門家の皆さまに、ぜひこのビジョンに参加いただきたいと考えています。
皆様のご参加を心より歓迎いたします。

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