考えるきっかけを作るツールの必要性

現在コーポレートコーチとして中小企業、大手企業での研修、フォロー コーチングなどを主な仕事とし活動しています。クライアント様のほとんどは同族企業と言って良いと思います。私自身はコーチとして企業の中に入り信頼関係を築いています。

そこでは売上向上の為 会社・社員の潜在能力を向上させ、 阻害要因をなくす為に マネジメントにコーチングのエキス・ツールを使い進めていくのですが、社内の阻害要因の一つとしていわゆる継承問題が浮かび上がってくる事が多いのです。

これまでは同族企業の問題にはタッチする事はありませんでしたが、資格認定証保持者となってからはアンテナが立つようになってきました。

継承問題等について課題として考えているのは社長ご本人とは限りません。ここでの例は、あるリース会社様ですが 店長・社員の関係性を向上させることにより、PDCAを回し売上向上に結びつける方向性でコーチしている中での出来事です。

この会社はもともと現社長と現専務の二人が飲食店から独立し起業、現在に至ります。現在、社長はいわゆる社長業に専念し現場・社員育成については専務が担当している状態です。ある程度の規模まで売上も伸び、コーチを雇い今後も充実した拡大を考えているのですが、 昨年ある事が起き専務は一抹の不安を抱えていたのです。

それは、社長と経理担当者の病気、 二人とも少し時期はずれてはいましたが3ヶ月ほどの入院をしました。ここで専務は、今後の会社組織について、そして今後の会社の継承問題に絡む会社の存続について 不安を抱いたのでした。

それは専務が事業を拡大しても、継承という意味で 将来存続できなくなるのではないかという大きな不安です。そして、できる事ならばこの事に社長が気づき両輪を回し、未来に向かってもらいたいという未来に対しての気づきです。

この事が起きる前まで 専務は未来の継承に対する不安を具体的に抱いたことはなかったと言っています。社長も口には出しませんが、入院という自分の異変を体験し未来について考え始めているかもしれません。

専務はコミュニケーションタイプでいうとサポータータイプ。ここまで社長の参謀として社長をサポートして 二人三脚で会社を大きくしてきました。社長との関係も良好なのですが、会社の存続・継承の問題となると社長の亡き後の話というイメージが強く、社長に言い出すことが出来ないでいる事も伝わってきます。

専務としては今後「会社の売上向上」というタイヤ、そして「未来の存続」というタイヤこの両輪を回していく為に、出来れば今後ここに踏み込んでいきたいと話してくれました。

そこでコーチとしての活動の一環として、アセスメントを一つ用意し社長と専務と話をしようと考えています。「考えて」と言ってもなかなか「考え」は浮かんでこないものです。これはコーチングの現場でもよく起きる現象です。今まで考えた事がない事はすぐには思いつかないものなのですね。

そこで、考えるのではなく選択してもらうためのツールを作ってみました。簡単な表ですがこれを見て 「10年後を考えた時、気になる事はどれですか」という質問を加えてみます。

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10年後の会社の繁栄に向け、左に利益を向上して行く為の要素を5つ 「関係性・育成」「売上向上」「知識共有」「スキルアップ」「支店拡大」。

右には同族企業としての要素を5つ 「経営方針」「相続」「継承」「ファミリー意識」「組織運営」 が図として書かれており、その中から気になることを選択してもらいます。

この方法であれば、今まで考えた事がなかった課題について気がつく事ができるのではないかと思います。

ファミリー企業にアドバイスするという事は、まずアドバイザーと企業との関係性・信頼感を構築する事。そして社長に気づいてもらい本気で取り組んでもらうきっかけを作る事が必要なのだと改めて気がつきました。

未来の企業繁栄の為、今後も「同族企業について考えるきっかけ」を与える。そして、「対応を考える」ツールを作り進めていこうと考えています。

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