「SFI (Securities & Futures Institute)」をお迎えして
(Delegation of Taiwan Financial Services Industry on the Financial Services for the Elderly and Family Business Succession in Japan)

先日、2024年10月28日に当協会は台湾の金融機関を中心とする長寿ファミリービジネスの事業承継研究を目的とする代表団「SFI (Securities & Futures Institute)」(Delegation of Taiwan Financial Services Industry on the Financial Services for the Elderly and Family Business Succession in Japan)をお迎えしました。

さて、この代表団は、台中銀証券の総経理(代表取締役社長)の翁許細(Weng Hsu His)を団長として、中央銀行・銀行管理局・証券会社・保険会社・会計士・法律事務所等金融関連団体からの参加者が参加する総勢26名の一大デリゲーションでしたが、日本のファミリービジネス及びその事業承継について勉強することを目的としており、当協会への要望事項としては以下の4項目についての聴講を希望しておられました。

  1. FBAAの使命と現在の業務
  2. 日本の同族企業の特徴と価値、およびその長期的な事業維持方法
  3. 同族企業後継者育成の計画と事例研究(株式分配設計、後継者育成、経営権移転など)
  4. 同族企業による外部専門家の活用(同族企業コンサルタント、ファミリーオフィス、金融機関、弁護士、会計士など)

当日は、西川理事長、小林プレジデントがFFIのためロンドン出張中、馬場理事は講義と重なっていて不在で、武井理事と階戸理事で対応されたのですが、階戸理事も大変お忙しい状況とのことで、急遽桐明がお手伝いすることになったものです。

日本語⇔中国語の通訳が同行される、ほとんどのメンバーは英語対応可とのことでしたので、当初は英語版の資料を用意しようかと考えましたが、おそらく台湾の方は日本語のほうが理解し易いと考え、武井理事と相談のうえ日本語の資料を用意しました。(武井理事は、親切に英語併記の資料を作成されました。)

代表団来訪の当日は、階戸理事の英語による挨拶から始まり、先方が希望された1.と2.については武井理事がご説明されました。私は3.と4.をお話させていただいたのですが、あまり時間が取れず、充分説明できたのかについては自信がありません。

最近、海外の学術研究者の間で日本には何故長寿の企業が多いのかという研究が盛んになっているようです。特に中国の中山大学の李新春教授が京都でのフィールドワークを進められ、中国で出版され日本でも訳本が出た「日本百年老店」という書籍では、日本の老舗企業の秘訣として「大家族主義」という表現をされていて、老舗企業のほとんどがファミリービジネスであることを見抜いておられます。そのような流れのなかで、日本の統治時代に多大なる影響のあった台湾においても、日本企業の長寿に関する関心が高まり、ファミリービジネスについての研究のための訪日団が結成されたのではないでしょうか。今回の訪日団のなかに日本に拠点をもつ生命保険会社もあり、彼らもNN生命様などと同様に日本企業の事業承継について非常に高い関心を持たれているようでした。

ということで、当日は数名のフェローの方のお手伝いもあって、代表団の皆様が熱心に聴講され、武井理事のFBAAの紹介と日本の長寿企業のほとんどを占めるファミリービジネスの特徴などの説明を聞いていただき、それに続いて私の方から日本の有名企業(トヨタやサントリー、山崎パンなど)の後継者育成の方法や、ファミリービジネスがどのように専門家を活用しているかなどについて紹介させていただきました。

講義後の質問も熱心で、特に女性の承継問題などにも言及され、ここでは3期フェローの大山さんも飛び入りで追加説明をしてくださるなど、全体的に非常に盛り上がりのある会合となって、台湾の代表団の皆様も大変喜んでいただけたと思っています。トップ不在のFBAAでしたが、底力を発揮して海外団体との交流も益々活発化できるのではないかと考えております。

以上、今回の台湾SFI訪日団との交流報告でした。

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