ココロを満たす商品を目指す

大阪7期フェローの田畑友啓です。株式会社産業創出ネットワークの代表取締役で、相変わらずハイテク光学機器開発など理系な仕事がメインです。

メンタリング活動でターニングポイント

今日はつい先日無事最終発表会を終えた、NPO 日本 MIT ベンチャーフォーラムによるベンチャーメンタリングプログラム(VMP21)でのエピソードをご紹介します。

私は10年以上、ビジネスプランの洗練を支援するメンタリング活動を行なっています。
VMP21においてもメンタリングを行いましたが、私にとってターニングポイントとなるものになりました。

私が担当したのは柴田未央(みお)さんが代表の株式会社ユーブロームです。

共感を呼んだプレゼン

ユーブローム社は肌の常在菌を検査することで、その人にあうスキンケア成分をレコメンドするというサービスを提案しています。

このサービスは特許出願を検討中の技術も含まれ、いわゆるテック系のビジネスプランです。私たちのメンタリングプログラムではよくあるタイプと言えばよくあるタイプの内容です。

しかし、柴田さんが最終発表会で提案されたビジネスプランは、珍しいタイプのものでした。

ビジネスプランの提案では、まず現在の課題を示します。その課題について柴田さんは「スキンケア選びが楽しくないので楽しくしたい」と提示したのです。

この動機そのものは素朴です。「そうなの!」と共感する女性も多いことでしょう。発表後の質疑応答で、最初のコメントも女性による「私もなんです」でした。

見事に着地した大ジャンププラン

しかし、高度な技術を伴うビジネスプランでは、一般的に提示される課題はもっと直接的です。例えば「自分の肌に合うスキンケアを探すのは難しい」でしょうか。どんなに素晴らしい技術でもなかなか社会に届かないことが多いです。それは、課題設定が社会の痒いところにあと一歩届いていないのが一因です。

一方、「スキンケア選びを楽しくしたい」という課題から出発すると、たどり着く解決法は、例えば口コミサイトを作ろう(すでに存在します)くらいになることがほとんどです。常在菌とスキンケア成分の相性を地道に調べ上げようという泥臭い技術にまで深入りすることはマレです。

柴田さんはその遠く離れた課題から解決法まで見事に飛びきるプランを披露して、ダントツで沢山の賞を取りました。

満たされてないのが見えないココロ

さて、柴田さんの訴える「スキンケア選びが楽しくない」には、私たちの社会が抱える積年の問題が現れています。

街には無数のスキンケア製品が溢れています。つまりモノは豊かです。でも選ぶ苦しみがあります。

私たちの社会は、モノは満たされたけどココロは満たされていません。私が子供の頃に読んでいたコロコロコミックでもテーマにされるような、よく知られた、しかし未だ解決していない問題です。

満たされていないのなら、先人がモノをガムシャラに満たしたように、私たちもみんなでココロ満たせと邁進すればいいはずです。

しかし、ココロが満たされてないことは、目に見えません。モノが何もないことが明白な戦後の焼け野原とは違います。そのためココロを消耗するモノがのさばることを許してしまっています。

人々は動き始めている

それでも私たち一人一人はココロ豊かな世界へ進もうとしています。

現在放映中のNHK朝ドラ『カムカムエヴリバディ』では、ヒロイン安子は和菓子屋の娘です。創業者の祖父から三代に渡って【お菓子は人を明るい顔にする】を信念にお菓子を作り続けています。

食べ物は体を満たすだけでなく、ココロも満たすモノだよね?という作家藤本有紀からの再確認のメッセージです。

パンの缶詰を開発した「パン・アキモト」の秋元義彦社長は、「心を満たすパン屋」を目指しているそうです。

これを読むファミリービジネスに携わる方、支援する方も、この問題に取り組んでおられる、あるいは今取り組もうとされているのではないでしょうか。

課題に気づいても壁がある

私も、これからのメンタリングで診るビジネスプランが「誰のココロをどう満たすのか」をより深く捉えるようにしようと考えました。

耳障りのいいフレーズですが、そら恐ろしい企てです。商品の枠組みはいじらず「顧客満足度を上げましょう」ではなく、課題に潜むより根深い不幸を分析すれば、提案している商品を否定してしまうかもしれません。

またその分析も簡単ではありません。私は上で「スキンケア製品が溢れている」といいましたが、溢れているから悪いと直結しているわけではありません。

たとえば、柴田さんは、カラーコスメを選ぶのは楽しいそうです。溢れていてもそれでいい。でもカラーコスメを選ぶのが楽しくない人もいるでしょう。そこにはスキンケアとは別の課題があり、誰かが解決の糸口を見つけなければなりません。

あちこちに課題があることは分かっていても、それぞれに解決を阻む壁があります。

ココロの焼け野原から立ち上がる

それでも、今が、モノだけでなくココロも豊かな社会に生まれ変わるために、私たちそれぞれが、自身の事業や支援する事業を捉え直すタイミングです。

大量生産・大量消費で消耗し、ダメ押しに感染症蔓延。私たちは今ココロの焼け野原状態です。

今こそみんなでガムシャラにココロ満たす商品を作って、みんなでココロ豊かな社会を作る好機です。そうなればきっとウツ病も減るし、出生率だってあがりそうです。

私は、大阪7期で認定を受けた後、同期の常光瑞穂先生のご指導を受け、幸せビジネス心理アドバイザーの認定もいただきました。

しかも普段はバリバリの理系でデータ分析や活用もこなしています。

もし、「ココロを満たすビジネス」を目指すのに、お困りごとがありましたら、是非お声掛けください。心理×データで支援いたします。

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