後継者とファミリーと番頭

認定講座7期生としてファミリービジネスに関して学びました、フジ物産の山﨑遼太郎です。

弊社は静岡県静岡市清水区に本社を持つ商社です。1957年に私の祖父が創業をし、今年で64年となります。私自身は、金融機関で4年間勤務ののち、2018年4月に従兄弟の山﨑壮とともにフジ物産に入社しました。

FBAAとのご縁は、私の叔母にあたる現在の社長が認定講座6期生として学んだことからいただきました。この講座を通して、私自身の後継者としての現在の立場と今後について、またフジ物産の現在と今後を深く考える機会が多くなりました。

「フジ物産」という会社への認識

幼少期から入社までの間、私にとって「フジ物産」は「祖父の創った会社」であり、「父の働いている会社」。そこまででした。父も昔から家で仕事の話をすることはほとんどなく、何を扱っている会社なのか十分には理解をしていませんでした。

金融機関で働き始めて2年経ち、現在の社長からフジ物産への入社の話をもらい、そこから初めて「フジ物産」というモノが「自分が働く会社」という認識に変わり、「自分が継ぐ会社」ということをうっすら感じるようになりました。

それでも「ファミリー企業」というモノに関しては、金融機関で働いていた私にとっては、「その街で代々続く企業」であり「一お客様」であり、二代目・三代目の方とお話しする機会がある中でも、「自分もこんな感じで継いで、経営や数字に関わっていくのかな」と思う程度でした。

入社1年が経ち、このFBAAの認定講座を通して、ファミリー企業の存在意義の重要性、事業承継の大切さと難しさをようやく理解するまでに至りました。

それからというもの、フジ物産に関わるオーナー、ファミリー、ビジネスにおける社員メンバー等々がそれぞれ、現在どのような役割を果たし、将来どのような立ち位置に変わっていくのかを意識しながら、コミュニケーションをとる機会が多くなりました。

ファミリーについて

冒頭に書いたとおり、弊社は祖父が創った会社であり、現社長の代が2代目、私と従兄弟の代は3代目に当たります。

多くのファミリービジネスの論文でも指摘されているように、この従兄弟という関係性は非常に微妙な関係性だということに改めて気づかされます。幼少期から互いに知り合っているものの、学校のクラスメイトのように会話する機会が多いわけではない。それでも親族であり、他人ではなく特別な存在である。

この状態のまま互いに社会人になり、ある時から同じ職場で働くというのは、非常に不思議な感覚であり、そのまま将来経営者の立場として協力して会社を背負う立場になるというのは危うい状態であることを感じるようになりました。

この課題に関しては、同じく認定講座を受講した山﨑壮と、1年先に受講をしていた現社長と共に、共通言語として共有できたこともあり、上の代・下の代ともに課題として持つことができました。

そして創業者の命日に、毎年全ファミリーで集まって交流の機会を設けるようになりました。徐々にではありますが、社内ファミリー・社外ファミリー含めて徐々に巻き込めているように感じます。

ファミリーの中で、同じ言語で課題について話し合えるということの重要性が、今回の認定講座を通じて非常に役に立ったように感じました。

ノンファミリー幹部について

FBAAの認定講座受講後、2期フェローの加藤さんにお誘いいただき、東京番頭会にて勉強を継続しています。月1回、現在はオンラインを中心にミーティングを行っているのですが、そのたびに多くの気づきをいただきます。

「番頭」については、この【フェローのコラム】にて番頭会の方々が番頭の役割の明確な説明をしてくださっており、私自身からはこれ以上改めて説明することはありません。

番頭の存在意義・役割を認識しながら、そうした役割を担う社員と接するようになりました。

講座を受ける前から、当然彼らを信頼してはいましたが、番頭についての勉強を深めるたびに、彼らがその役割を自然と担ってくれているということに気づき、改めて強く感謝するようになりました。

「現社長世代と次世代をつなぐ役割を担う社員」

「人間関係について、やりづらい仕事を自ら引き受けようとする社員」

本来であれば、目に見えない仕事でいちいち自分から動きたくない仕事かと思いますが、経営者を支える立場であることを自覚してくれている、ということに番頭という存在の大きさを思い知らされます。

そして、彼らがそういった仕事を進んで行う動機づけとして「オーナーズラブ」があるということも、自らへの戒めも含めて認識しなければなりません。

彼らの「オーナー」とは、これまでの創業者や現経営者世代の築き上げた信頼関係であること、そこをベースに私たち次世代に対して向き合ってくれていること、その期待を裏切ってはいけない、と認識するようになりました。これも私の中での大きな変化です。

現在このような立場で経営者として修業する一方で、人事として新卒の採用、新入社員の育成にも関わっています。

現在の番頭はすでにその役割を担ってくれていますが、私達からさらに次の世代の番頭候補は自分たちで育てていかなければいけません。

ファミリー企業の永続のために必要なことはまだまだ多いですが、それでもそのことに今の段階から気づけたこと、これからすべきことが少しずつ定まってきたこと。その機会をいただきましたFBAAの講師の方々、同期の方々、番頭会で多くの気づきを与えてくださる方々に改めて御礼申し上げます。

自身と企業の成長をお見せし、恩返しをしたいと思います。ありがとうございました。

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