ファミリービジネスを相続し、事業承継するための心構え
私はビジネスオーナーファミリーの三代目としてビジネスを展開しております。
今後はさらに次世代に承継してもらうべく、計画を立て、日々実践しているところです。
今回は、この小文において私の経験上得られた知見や、FBAAを通じて学んできたことについて、皆さまと共有したいと思います。
特にこれから事業承継を迎える人、そしてその人たちをサポートしてゆくアドバイザーの方々に向けて発信してゆきます。
ファミリービジネスを相続し事業承継するために必要な心構え
【要約】
- ファミリービジネス(以下、FBと表記します)を相続し、事業承継するには様々な困難が伴う。しかし必要以上に恐れなくてよい。
- 恐れずに取り組むために必要なことは、
(1)覚悟を決める
(2)自分の軸を作る
(3)人を頼る
(4)とにかく行動する(がむしゃらに)
(5)利害関係にない友人や師匠を持つ
(6)自分が引退するときのゴールイメージを持っておく
(7)常に学ぶことを忘れない - 「受託責任」(ステュワードシップ)について
- 結語
それぞれについて説明いたします。
1.事業承継するには様々な困難が伴うが、必要以上に恐れなくてよい
FBにおける相続と事業承継は大変な事業です。
特にFBにおいてはファミリー、ビジネス、オーナーシップの三つを引き継がなければならないので、より複雑で困難な事業となります。
しかし必要以上に恐れることはありません。
誠実に取り組んでゆけば時間が解決してくれることが多々あります。
そして時がたてば、FBの事業承継はご自分の人生における大変有意義な活動であることがお分かりになるでしょう。
2.恐れずに取り組むために必要なこと
恐れずに取り組むにあたって必要であると思う心構えについて、以下に列挙してゆきます。
(1)覚悟を決める
これがないと何も始まりません。「何も」です。
知識や経験をそれなりに蓄えてから継ぎたいという人を見かけますが、腹をくくれば必要なことは自ずと見えてきます。
ですから、先ずは覚悟を決めましょう。
(2)自分の軸を作る
自分は何のために継ぐのか、について突き詰めましょう。
そしてそのブラッシュアップを怠らない。それが日々の事業活動に反映されていきます。
(3)人を頼る
事業活動は困難を伴います。
自分ではとても対処が難しいと思えることが出てきます。
そうしたときは遠慮なく人を頼りましょう。
「自分が引き受けたのだから、自分で解決しなければ」などと頑張りすぎてはいけません。
積極的に人を頼りましょう。
(4)とにかくがむしゃらに行動する
経営は経験がものをいう世界です。
実際に行動することからしか道は拓けません。
勉強も大切です。
しかし勉強して行動しない人が多いのも事実です。
学んだことは実践して初めて意味を持ちます。
頭でっかちではだれもついてきません。
(5)利害関係にない友人や師匠を持つ
自分の日常に全く関係のないところでの友人や、師匠と呼べる人を持ちましょう。
第三者の視点を取り入れることで局面が拓かれる、ということはよくあります。
(6)自分が引退するときのゴールイメージをもっておく
継いだら引退するときのことも考え始めましょう。
トップがどんなリタイヤをしたいか、によって、日々の事業活動は影響を受けます。
(7)常に学ぶことを忘れない
先ほど経営は経験がものをいう、と言いました。
経験が最も重要ですが、独善に陥ってはなりません。
そのためには、常に自分の事業活動を客観視できるような学びが絶対に必要です。
これをやらないと事業の成長はいずれ限界を迎えます。
3.「受託責任」(ステュワードシップ)について
相続承継者としての自分の地位は自分個人のものではない。
先祖をはじめとしたすべての過去の関係者と、これから引き渡してゆく未来の子孫たちとその関係者から一時的に預かっているだけです。
これを忘れなければ、驕慢にならずに済みます。
4.結語
以上、FBを相続し、事業承継するために必要な心構えについて述べてきました。
冒頭にも触れましたが、事業承継という事業は実際に困難なものです。
しかし、しっかり取り組んでゆく価値は十分すぎるほどあります。
実際に私はファミリーとビジネスを承継することで幸せになりました。
ご自分の幸せな未来のために、この小文がこれから承継する方々のお役に立てることを願っています。
そしてアドバイザーの皆さんには、一つでも多くの幸せな相続、そして事業承継を作ってあげてほしいと切に願います。