FBAA第62回定例セミナー 開催レポート
「100年企業の共通項~徳・人間力・社会性~」
FBAA第62回定例セミナー 開催レポート
「100年企業の共通項~徳・人間力・社会性~」
主な講演内容
日本には長寿企業が多いことは良く知られているが、その要因として経営層の人間力や人徳が指摘されることが多い。
しかし、人間力や人徳をどのように高めていくかについて触れられることは多くない。
私は50年近く、多くの行き詰まった会社の再建経験指導を通して経営者の「人間力」は「徳」や「人間性」の反映であることを見てきた。
「徳」は「他に与えた喜びの天への貯金」であり、それは自分個人の積徳・積善だけでなく、親祖先が積んだ徳が大きい。
先代や先祖の生きざまという家族の歴史の中に徳を発見し、感謝・継承することで人間力を高め天命に生きる道が見いだせる。
講師プロフィール
天明 茂 様 一般社団法人人間力大学校人間力大学校校長・公認会計士・宮城大学名誉教授
- 昭和17年東京生まれ。
- 明治学院大学卒業後、(株)日本コンサルタントグループを経て日本創造経営協会に所属。この間、公認会計士の資格を取得し、恩師の元で行き詰った会社の再建に取り組む傍ら、職業会計人に対する管理会計研修など多くの講演・研修に携わってきた。
- 平成3年から縁あって宮城大学をはじめ事業構想大学院大学、東京国際大学の教壇に立った。
- 宮城大学退官後、平成28年には一般社団法人人間力大学校を設立し、家系洞察に基づく人間力開発の講座を主宰してきた。
セミナーレポート
熊﨑雅規(FBAAフェロー6期)
今回の定例セミナーでは、一般社団法人人間力大学校校長・公認会計士・宮城大学名誉教授の天明茂氏より「100年企業の共通項~徳・人間力・社会性~」と題してご講演をいただきました。
フェローの末松大幸様より「60歳を過ぎて天明氏と出会い、成長のチャンスをいただいた。『人間力』はボーリングのセンターピン、それを外すとストライクを取れない。」と思いのこもった講師のご紹介がありました。
ご講演の冒頭で、かつて倒産会社を数多く見てこられたご経験に触れられました。それらの企業では社長が自己中心的で家庭や社会性にも問題があった、そうした共通点への気づき・問題意識から、以下のような印象的なお話をお聞かせいただきました。
会社発展のカギは家庭にある
家庭の愛和があってこそ自己肯定感を持て、企業経営でもリーダーシップが発揮でき、それが顧客満足や感動を生み出す。
事業継続の3大法則
① 徳を高めて相続する(徳の高い会社は社会が潰さない)
② 社会の課題解決を続ける(仕事は無限にある)
③ 後継者を育てる(志を受継ぐ;経営能力よりも優先)
… これらの大前提として家族の信頼・和・志の共有がある。
VUCA時代の経営に必要なもの
a)自律型組織; 情報の透明性、力の流動性、境界の開放性、アメーバ~ 経営のみんな化
b)社会課題の解決; 企業倫理(良くないことはやらない)、社会貢献(良いことはやる)
c)人間力; 人生の最上位目標に生きる … a)b)のベースとして不可欠
人間力を高める;「あなたでないとダメ」と言われる絶対的信頼性
a)人生の最上位目標 … 天命
b)生活基本(凡事徹底)、洞察力(本質を見抜く)、人間性(他を思う心と行動)
c)徳 … 他に与えた喜びの天への貯金(先祖からのものを含め)
… a)を支えるためにb)が必要、そしてa)b)全体のベースにc)徳が必要。
「連続生命観」(先祖から受継いだ命)
「個別生命観」(俺の命は俺のもの)ではなく … 受継がれた徳を継承し徳に感謝する ~ 積徳・積善を習慣化する(世のため人のため)
… 先祖の徳 + 自らの徳 = 徳の総和 / 「利他一如、彼我一体感に立つ」
本当の自分はDNAの中にある
幾多の先祖~親たちが寄って造り上げてくれた自分というもの、いかにもお粗末にしていやしないか? ⇒ 先祖につながり、Something Great大宇宙生命とつながる(宇宙の創造主の応援を得て遺伝子のスイッチをオンにする)。
代々にわたる因果の人生シナリオをどう書き換えるか?
⇒ 宿命(定められた人生シナリオ)から運命(徳を高め命を運び直す)へ
… 我々の「命」をいかによく「運命」たらしめるか、「宿命」に堕させしむるか、その人の学問修養次第である。
… 「知命」「立命」(安岡正篤氏)
基本的信頼感
子供が両親との間に強い絆を形成し、他者から愛され大切にされているとの感覚
… 困難・試練を乗り越える力、他者への思いやり・希望・志のベースとなる。
幼少期に聞いた「家族の歴史」の記憶が鮮明な子はできる大人になる。
愛和の家庭づくり
夫婦補完を心がける … 相手の欠点を責めない(自分が補う) / 自分にないところが相手にある ⇒ 補完しあって徳を引き出す。
家系洞察
家系調査・分析 ~ 徳・不徳の発見と継承(不徳は徳への転換に努め精算へ) ~ 先代から次世代へと受継がれていく代々のつながりから、両親・祖父母・祖先を理解し受容し信頼し尊敬する ~ 家族史をつくる。
先代や先祖の生きざまという家族の歴史の中に、世代を超えて今につながる徳を発見し感謝・継承する。こうして先祖につながり創造主とつながることで人間力を高めれば、天命に生きる道を見いだすことができる。
分かりやすい実例も交えながらのご講演、最後には質疑応答もなされ、貴重な学びと気づきの機会をご提供いただきました。天明様、熱意溢れるお話本当にありがとうございました。
本セミナーを企画・準備・運営していただきましたFBAA関係者皆様にも御礼申し上げます。