FBAA第60回定例セミナー 開催レポート
「日本のファミリービジネスにおける番頭の重要性」

FBAA第60回定例セミナー

FBAA第60回定例セミナー 開催レポート
「日本のファミリービジネスにおける番頭の重要性」

 主な公演内容

私は現在、イカリ消毒株式会社でノンファミリーの取締役をしております。
イカリ消毒株式会社は創業64年を迎えるファミリービジネスでありますが、おかげさまで、社員も1300人を超えるところまで成長しました。
社長は5代目で、4年前に事業承継しましたが、初の第3世代(いとこの世代)への承継ということで、これからのファミリーガバナンスに多くの課題を抱えています。

私は2017年にオーナーの勧めで、日本大学大学院の階戸先生のゼミに入学させて頂きました。
当初は経営学を学ぼうと思っていたのですが、階戸先生にファミリービジネスを教えて頂き、その研究に大変興味が湧きました。
そして2年間勉強させて頂いて、最終的には「日本のファミリービジネスにおける番頭の意義」と題した修士論文を書いて2019年3月に卒業させて頂きました。
その階戸ゼミでFB研究会にも参加させて頂き、いろんな方にFBAAの講座受講をお薦め頂いて、2019年第7期の講座を受講致しました。

ここで、特にファミリー・セラピーやNF幹部についての講義は、自分の現状についての意識改革に大変役に立ちましたし、いろんな方々とのディスカッションは本当に刺激的で、各々の経験に基づいた意見交換は自分の腑に落ちるものであり、ずっと続けていたいと思う程、楽しい時間でした。
このように楽しく勉強させて頂いたFBAA講座が終了するときに寂しく思っていますと、FBAAフェローの加藤さんから「東京番頭会」を結成したいので、参加しないかとお声をかけて頂きました。

リーダーは同期の西田さんにお願いして、現在のところメンバーは11名で、社長、番頭、研究者で構成されています。
社長の方々は番頭の育て方に興味を持たれていますし、番頭はファミリーの信頼を得るにはどうすべきかに関心があります。
月に一度、それぞれの近況報告を行い、コミュニケーションを図っています。

他に「大阪番頭会」「京都番頭会」があり、その方々と共に、2021年5月29日に「日本番頭支援協会」を設立しました。
この協会は、永続している企業の1つのノウハウとして存在する「番頭制度」を通じ、
企業の日本的良き伝統、日本らしさ、オリジナリティを勘案した「未来的日本的経営」に貢献し、ファミリービジネスの持続的成長・発展に重要な役割を担う「番頭」を育て、元気にし、共に成長するコミュニティとすることを目的としています。

メンバーのみなさんと
・ファミリービジネスの番頭制度が、持続的経営の重要な成功要因であることを、
 日本的経営の知恵から学び、明らかにする。
・ファミリービジネスを支える番頭が、どう経営に関わったのか?
 その事例を収集し、考え方と行動を調査分析・整理し、次代へ向けたNEW番頭像を提言する。

以上の活動によって、ファミリービジネスの発展と永続性に貢献したいと思います。
私は、FBAAでの学びが多くのことを気付かせてくれたことに深く感謝しています。
そして、FBAAのみなさんとの出会いが本当に大きな財産だと思っています。

これからもみなさんと一緒に学び続けていければありがたいと思います。

講師プロフィール

藤村 和久 様 イカリ消毒株式会社 顧問

    • 1960年 京都市に生まれる
    • 1984年 関西学院大学経済学部卒業 某ハムソーセージメーカー入社
      営業に従事 自宅は神戸市
    • 1990年 関西国際空港・りんくうタウン関係の某地域開発会社入社
      営業に従事
    • 1995年 イカリ消毒株式会社入社 営業に従事
      神戸営業所長➡兵庫地区長➡大阪地区長➡近畿事業部長
    • 2009年 本社(新宿)勤務(中野区在住)
      人事部長➡総務部長➡総務統括部長
    • 2015年 取締役就任
    • 2019年 日本大学大学院 総合社会情報研究科
      国際情報専攻 博士前期課程 修了
      第7期 FBAA資格認定プログラム参加 修了
    • 2020年 東京番頭会参加
    • 2023年 非常勤顧問就任

セミナーレポート

株式会社バーテック 森 隆行(FBAAフェロー6期)

本日は、J B A(日本番頭支援協会)でお世話になっている藤村さんによる番頭についての講演がありました。
藤村さんはイカリ消毒(株)様の番頭を昨年まで務められており、番頭としての経験や見解についてお話しいただきました。

まず、藤村さんがイカリ消毒に入社された経緯と入社後の経歴について触れられました。
藤村さんは現在では取締役を退任されていますが、イカリ消毒の4代目社長との関係がきっかけで番頭としての役割を果たすようになったとのことです。
社長との関係が番頭としての活動の基盤となり、お互いに惹かれ合いながら仕事以外の時間も共に過ごされたことが分かりました。

番頭の研究については、藤村さんが日本型補佐役のタイプに焦点を当てて紹介してくださいました。
番頭には様々なタイプが存在し、それぞれが異なる特長があることのことでした。
したがって、企業にとって適切な番頭を見極めることと、その番頭を育成することが永続的な経営を実現するための重要なポイントであるとのお話でした。

藤村さんの経験から、番頭としての要件についてもお聞きすることができました。
番頭としての役割を遂行するには、大変な覚悟が必要であることが分かりました。

藤村さんの講演を通じて、番頭としての役割とその要件について多くの示唆を得ることができました。
番頭は単なる補佐役ではなく、企業の経営者とともに経営を担う存在として重要な役割を果たしています。
番頭と経営者との信頼関係や良好な人間関係は、番頭の役割遂行の基盤となることが分かりました。

また、番頭の育成には組織の特性やニーズに合わせた適切なタイプの番頭を選抜し、彼らが持つスキルや知識を磨くことが重要です。
J B A(日本番頭支援協会)では、ファミリービジネスに携わる人々が学び合い、情報やノウハウを共有する場が提供されています。

今後も、ファミリービジネスにおける番頭の重要性を広く認識し、その役割を適切に理解し、育成・支援していくことが求められます。
私は藤村さんの講演を通じて、その重要性と必要性を再確認することができました。

このような貴重な機会を提供していただき、心から感謝申し上げます。

参加者の声(アンケート感想)

番頭さんの本音がきけて良かったです。オーナーさん(ファミリートップ)をどう叱るか、諭すか、どうフォローするか?このあたりのお話も具体的にお伺いできればと思いました(FBAAフェロー 富塚祐子様)
番頭の特徴がそれぞれあり、オーナーとの相性も物凄く大切だと感じました。また、将来番頭に向く人材を見つけたり育成するのに非常に参考になりました。
番頭の役割の重要性が良く分かりました。事業承継後の社長は、価値観や仕事のスタイルが変わると思いますので、番頭の役割も少し変化するように感じました。ただ、時代が変わっても番頭として社長の人柄との相性は大変重要ですね。
藤村さんの人となりを十分に感じることができました。(FBAAフェロー 山田哲也様)
番頭の役割、オーナーとの関係性、次世代への関わり方等大変勉強になりました(近藤高史様)
番頭の条件として掲げていただいた5か条は本当に大事なものを教えていただけたと思います。この5つはまたばらばらではなく相互に連関しているものだと思います。
正しい行動をする社外取締役がさらに機能するにはどうするか、そこも考えていきたいと思います。(FBAAフェロー 小林博之様)
同族会社の内部にいる番頭さんの実体験をお聞きできたのが、すごくよかったです。(FBAAフェロー 関口健一様)
番頭の分類は初めて知りました。5代目との関わり合いについてくわしく知りたかったです。(FBAAフェロー 玉林直人様)
番頭の重要性について改めて認識できるとともに、歴史の流れを踏まえながら番頭の種類や役割の違い等について整理でき、理解が深まりました。特に中小企業において大切と思いました。(FBAAフェロー 福地真一様)
企業、なかでもファミリービジネスにおける番頭さんの存在意義がよくわかりました。ご苦労が多い中、自身でヤリガイを見つけ続ける大切さも学びました。ありがとうございました。(FBAAフェロー 森原英壽様)
番頭の役割と必要性について良く理解できました。番頭の難しさもです。(FBAAフェロー 高梨一郎様)
オーナー様との具体的なやり取りを含め、大変率直なところをお伺いできて、番頭の役割の重要性を再認識するとともに、現場でのご努力についてイメージを鮮明にすることができました。番頭の5つの要件も勉強になりました。ありがとうございました。
番頭としての体験は他ではなかなか聞くことができませんので、大変貴重な時間となりました。番頭の立場として、これからの自分の役割が明確になって、目の前の悩みが小さくなりました。(FBAAフェロー 木村多喜子様)
私も1960年生まれで時代背景も含め、人間関係など納得できることがたくさんありました。本日は、ありがとうございました。(入江和夫様)
社会活動も事業活動のベースは人で、その関係性が根本にあるということが再認識できた。多くの人が(兎角若者)、べき論で考え、自分の行動に照らし合わせる故に窮屈を感じているようにみえます。もっと感情に向き合い、その関係性が原動力になっているという番頭さんの生き様が、若者にわかりやすく伝えることができるとよいなと思いました。(FBAAフェロー 今井あかり様)
ファミリービジネスの中にいて、ファミリービジネスがなぜ強いのかは、血のつながった間柄は、「切るわけにいかないから」と、勝手に考えてきました。しかし、何度もやめようと思ったけれど、「自分がいなくなったら困るだろうな」と思われて続けられたとの藤村様のお言葉をお聞きし、胸に刺さりました。血のつながりがなくても、ここまで愛せる4代目様の魅力があったのかと思いますし、なにより藤村様のお心の広さ、慈しみの思いに感動の2時間でした。貴重な機会をありがとうございました。(FBAAフェロー 村田弘子様)
オーナー経営者との信頼を築き上げてゆくプロセスが、大変共感共振するとともに、定石があることが確信できました。
藤村さんのラストコメントに合ったように、今後まだどうなるか予断は許さないのではないか思いますので、覚悟を持っていらっしゃると思っています。番頭道は続いています。
これからの番頭道を極めていって頂きたいです。(FBAAフェロー 加藤隆一様)
第7期の受講生です。藤村さん、ご無沙汰しております。番頭さんがいないと社員の立場もしっかり守れないことが大変よく理解できました。大変貴重で為になるお話、ありがとうございました。(FBAAフェロー 新屋敷辰美様)
本日は大変貴重なお話をご開示頂き誠にありがとうございました。
藤村さんのお話をお伺いしておりますと、会社の機能別組織(営業、財務、製造等)は、どうにか学びで出来ることが多いですが、番頭さんだけは人間力という天賦の才と、仕えるオーナーとの相性が備わった方でなければ、難しいなと心底感じました。
藤村さんのような方と巡り合えた前オーナーが、大変うらやましく思えます。
前オーナーも間違いなくそうされたと思いますが、オーナー候補者は、これを奇跡の巡り合わせにせず、時間をかけ、そういう才能のある人材を自ら育て引き上げること、これが非常に重要な仕事だと、改めて感じた次第です。(FBAAフェロー 鈴田修士様)
ありがとうございました。今後、起業経営する際に役立てたいと思います。(田中俊祐様)
ありがとうございました。オーナーと密な時間を過ごす、が響きました。オーナーのコミットメントが大事ですね。(FBAAフェロー 武井一喜様)
番頭の歴史から始まり、定義や役割を深く学ぶことができてとても有意義でした。ありがとうございました。
経営者とNO2(今回は番頭さんという名称)との関係性は、非常に微妙だと思います。あえて言うのであれば相手の心理状態を的確に読み、そして、対応していく。このことが重要ではないかと思いました。(FBAAフェロー 魚路剛司様)

Top