「企業の生き残り戦略」~100年続く事業づくりの秘訣~
「企業の生き残り戦略」
~100年続く事業づくりの秘訣~
開催レポート
セミナー概要
2022年1月23日、FBAA(日本ファミリービジネスアドバイザー協会)定例セミナーがオンラインで開催されました。今回のセミナーは、オムロン株式会社イノベーション推進本部インキュベーションセンタ長を務めるとともに、京都大学経営管理大学院客員教授として「100年続くベンチャーが生まれ育つ都」に向けた研究・実践を推進する竹林一(たけばやしはじめ)氏にご登壇いただきました。
株式会社オムロンでは、イノベーションとは【ソーシャルニーズの創造「社会的課題の解決」】と定義しており、これまでに健康機器や自動改札機などをはじめとした様々な製品を世の中に送り出している。より良い社会を作り出すためにイノベーションを実践し続けている。1970年にSINIC理論を定義し社会の変化を予測しつつ、社会をより良くしながら会社の成長をしてきたという事例も含めたお話は受講者の関心を集めました。
京都大学経営管理大学院客員教授の活動として、1000年続く京都のあぶり餅屋を訪問。老舗企業にはぶれない存在目的とエコシステムがあるという事例の紹介がありました。また、京都の茶屋の人材育成のシステムなど、日本の伝統の中にもある知恵についての話は単なる経営戦略にとどまらず地域に育まれた長寿企業の秘密について触れた実例をお話しいただきました。
イノベーションの鍵は【新しい軸を定める】ことと【イノベーションを推進する人材を育成すること】にあるという話題は、セッションの中でも質問や感想も多く受講者の関心の高さが伺われました。
竹林氏の豊富な事例と熱量のある講演で、2022年度が本格的にスタートすることができました。ファミリービジネスのオーナーや番頭役の皆様。アドバイザーとして活動する皆さんがイノベーションという活動にワクワクしながら望むことができそうです。
参加者の声
セミナー中は、参加者から気づきの声がチャットにたくさん寄せられました。また、事後アンケートでも、竹林さんの分かりやすいお話に刺激を受けた様子がうかがえます。
- 「ぶれないからこそ変われる」という言葉が自分を持つことの大切を感じ、励まされました。
- 自分の仕事に重ねて考えることができました。また、自分の置かれた立ち位置(親からの承継)を考えることができました。
- ファミリービジネスアドバイザーの重要な役割がわかります。
- 分かり易いメタファーでモデル化されたお話は、とても参考になりました。特に「ぶれない縦糸」「時代とともに変わる横糸」は本当にわかり易かったです。
主催者より
今回は竹林一氏にご登壇いただき、イノベーションについて考える時間となりました。
ファミリービジネスでは、時々このような話題を耳にします。
- ビジネスモデルが形骸化したことに気づかずに継続が手遅れになってしまった
- 歴史や伝統があるから、新しいことに周囲が否定的
- オーナーやリーダーが旗を振るが、誰もついてこない などなど
ファミリービジネスに関わらず、どの企業でもいつかは現在のビジネスモデルが形骸化する時がやってきます。そのために、イノベーションし続けることこそ生き残りの戦略とも言えると思います。
竹林氏の著書である「たった一人から始めるイノベーション入門」の裏表紙に【コミュニケーションのないところにモチベーションはなく、モチベーションのないところにイノベーションは生まれない】と記されています。
一人でイノベーションを起こすのは、誰にとっても至難の業。一緒に働く仲間やファミリーと「うちの会社の軸ってなんだろう?」「社会で困っている人に何か役に立てることはないか?」を話し合うことからみんなを巻き込んでイノベーションはやがて事業となってゆくイメージが鮮やかに参加者の間に共有されました。
(FBAA執行役員 上田雅美)
竹林氏の著書「たった一人から始めるイノベーション入門」