FBAAフェスタ2026@横浜 報告レポート 〜心をひらく、家業がひらく。希望をともすFBAA〜開催報告

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FBAAフェスタ2026@横浜 報告レポート
〜心をひらく、家業がひらく。希望をともすFBAA〜

1. はじめに:横浜の地で実現した「満員御礼」の熱狂

横浜の地に109名もの皆様が集結してくださいました。会場を包んだ熱気と「満員御礼」の盛況に、心より感謝申し上げます。開港の地・横浜は、かつて日本が外の世界へ港を「ひらいた」象徴です。本フェスタのテーマ「心をひらく、家業がひらく」には、家族が対話を通じて心をひらき、家業が次世代や社会へひらかれていくという開港の歴史に重ね、願いを込めました。

代々横浜の発展に携わってこられた、以下の老舗ファミリービジネスオーナーの皆様に来賓としてご参加いただきました。

  • 三丸興業株式会社 代表取締役会長 渡邊 俊郎 様
    横浜開港以来の歴史を受け継ぐ事業並びに神奈川県匡済会の活動で横浜をはじめとする地域の発展に尽力されています。

  • 株式会社横濱屋 代表取締役社長 山本 宗男 様
    明治22年創業の横濱屋の6代目として、食品スーパーや酒類販売を通じ、地域に根差した経営を展開されています。

  • 株式会社ありあけ 代表取締役社長 藤木 隆宏 様
    横浜を代表する銘菓「横濱ハーバー」をはじめ、お菓子を通じて人々に感動を届ける企業経営を推進されています。

  • 吉田興産株式会社 取締役 吉田 嘉一郎 様
    横浜発展の礎となった吉田新田の400年の歴史を受け継ぎ、その歩みと地域の文化を広く伝える活動に取り組まれています。

実行委員会が「ワンチーム」となって生み出したこの熱狂は、FBAAの社会的認知の高まりと、複雑化する現代におけるファミリービジネス(以下FB)支援の必要性を雄弁に物語っています。横浜のリーダーたちから放たれた情熱は、参加者一人ひとりの心に確かな希望の火を灯せたと思います。

2. スペシャルメッセージ

今回の開催にあたり、FBAAファウンダーの西川盛朗には、企画・準備の段階から多大なるご支援とリーダーシップを賜りました。西川の本拠地であり、また本人にとっても深い愛着のある横浜での開催に際しては、多方面にわたりご尽力いただくとともに、多くの皆さまとのご縁をつないでいただきました。この場をお借りして、事務局一同、心より御礼申し上げます。

あわせて、西川より、横浜でお世話になった皆さまへ向けた感謝の想いを込めたコメントをお寄せいただいておりますので、ご紹介いたします。

一般社団法人日本ファミリービジネスアドバイザー協会 ファウンダー・名誉理事 西川 盛朗 

横浜 長寿ファミリービジネスの皆様に感謝
FBAA立ち上げ時から今日まで、近代日本を築いて来られた横浜を代表するファミリービジネスのオーナーの皆様から、様々なご支援とご助言を頂いて来ました。
今回のフェスタ横浜には、その一部のオーナーの皆様をお招きし、ご講演やFBAAの会員との情報交換にご協力を頂きました。

このオーナーの皆様に共通する特徴は、

  1. 控え目で謙虚

  2. 他者への協力、弱者への支援に関心が高い

  3. 家族の仲が良く、一家が結束している

この中の ③「家族の結束」 の事例として、横浜の100年企業の一つである上野グループをご紹介します。

上野家の座右の銘「壺中天」。
三代目の故・上野 豊氏の言葉。

「私がまだ幼かった頃、床の間にはめ込んだ桑の木の額に『壺中天』の揮毫が掲げられていました。京都紫野の大徳寺の管長が、我が家に立ち寄られ、家族の様子をご覧になって、上野家のためと揮毫して下さったものと父から聞いていました。

意味は『社会の小単位である家族がお互いに信頼し合い、助け合ってそれぞれの務めを果たしていけば、そこには一個の平和で明るい壺の中の世界がある』ということを表した言葉ですが、これを職場や地域に広げていくことによって理想の世界が実現されるというものです。」

長く繁栄するファミリービジネスのベースには、家族一人ひとりの幸せを追求しつつ、ビジネスファーストで事業の成功に協力し合うファミリーがあると思います。

3. 開催挨拶

一般社団法人日本ファミリービジネスアドバイザー協会 理事・プレジデント 小林 博之 

FBAAは2012年に、ファミリービジネスを支えるアドバイザーの養成と交流のために設立されました。現在は全国や海外から約300名のメンバーが集まっており、士業や金融機関の方々だけでなく、オーナー経営者や後継者の方々も一緒に学び、活動しています。この「多様性(ダイバーシティ)」こそが協会の誇りであり強みです。

FBAAのプログラムを通じて、家族(ファミリー)、ビジネス、所有(オーナーシップ)の3つの輪からバランスよくアドバイスできる人材を輩出しています。先日は経済産業省が発表した「ファミリーガバナンス・ガイダンス」に向けてパブリックコメントを提出するなど、社会に向けた発信も積極的におこなっています。

2022年に会員向けの実践報告会(50〜60名規模)として始まったこのフェスタは、昨年の大阪での一般公開(90名以上が参加)を経て、今回はほぼ満席となる110名をお迎えする規模にまで成長しました。

横浜の開港記念の歴史になぞらえて、今回のテーマを「心をひらく、家業がひらく(ファミリーとしての心を開くことが、ビジネスの発展につながる)」と定めました。ファミリービジネスがずっと続いていくために欠かせない「オーナーファミリー」について、皆さんと一緒に考えていきたいと締めくくりました。

4. 第1部:株式会社崎陽軒代表取締役会長 野並直文氏
「“売り家と唐様で書く三代目”にならぬよう」

伝統と革新の融合——崎陽軒に学ぶ「3代目の覚悟」
崎陽軒の野並会長は、FBが陥りやすい罠を「“売り家と唐様で書く三代目”にならぬよう」という格言で説かれました。商売を疎かにし、教養や趣味に溺れて家を潰す三代目への警鐘は、当事者の胸に深く響くものでした。同社の象徴「シウマイ」は、横浜駅が「始発駅ではない」ために弁当が売れにくいという致命的なハンディキャップを逆手に取り、移動中に「冷めても美味しい」という独自の価値を追求して生まれた戦略的産物です。
また、理念に合わないコンビニ風弁当の提案を「名物名所を創る会社だ」と退けたエピソードは、経営理念が組織のベクトルを合わせ、実務において機能させることで本物になることを示しました。伝統には形を守る「守りの伝統」ではなく、先人が困難に立ち向かい目指したものを継承する「攻めの伝統」もあることが示されました。

5. 第2部:株式会大川印刷 代表取締役社長 大川哲郎氏
「事業承継」から「使命承継」へ140年企業が考えるファミリービジネスの未来

使命の承継——大川印刷が示す「正しいことをやる」経営
大川印刷の大川社長は、事業承継を超えた「使命(パーパス)の承継」を語られました。その根底には、98%の成功率と言われた手術で父を亡くした理不尽な経験があります。世の中にある理不尽に対し社会貢献を通して取り組もうと40年前に心に決めたのがCSR。「DO THE RIGHT THING(正しいことをやろうぜ)」というスローガンは、単なる環境活動ではなく、社会に必要とされ続けるための「生き残り戦略」です。儲かるからやるのではなく、無くなっては困る会社を目指すわけです。
同社は「印刷しない印刷会社」を掲げ、大量のテキストを自動でデータ化するなど、新しい取り組みも積極的に取り入れています。しかし、その取り組みを通し、デジタル化させるものと、「今まで通り紙の方が良いものを見分ける」という新たな価値を作り出すことができたと言います。「変化対応型」ではなく「変化創造型」企業を体現なさっています。
「使命とは命を使うこと」という重みのある言葉は、旧来の受託型製造業が、社会的価値を追求することでいかに強固なビジネスモデルを構築できるかという、新たなロールモデルを提示してくれました。

6. 第3部:パネルディスカッション ファミリーに灯りをともすFBアドバイザー

▼FBAA THE MOVIE 「もめ事ばかりの、あるファミリー」
FBAA俳優養成所メンバー(ディレクター FBAAフェロー 阿部 敦史 (有限会社ブランドストーリー研究所))

冒頭にファミリービジネスを営むある家族の動画が上映されました。FBAAの実行委員会メンバーが役者となり、面白おかしく進行し、会場は笑いに包まれました。

▼パネルディスカッション
ファミリーに灯りをともすFBアドバイザー
モデレーター:亀ヶ谷 正信(FBAAフェスタ2026実行委員長 FBAAフェロー
Social Healthcare Design株式会社代表取締役CEO)
パネリスト: 波戸岡 光太(FBAAフェロー・弁護士/ビジネスコーチ)
平林 秀樹 (FBAAフェロー・株式会社 グラスティ 代表取締役)
五十嵐 寛之 (FBAAフェロー・五十嵐製箱株式会社 代表取締役社長・家業総研 代表)

共鳴する知見——ファミリーの心をひらく力、事業をひらかせる力

最終セッションでは、ファミリービジネスアドバイザーの存在価値を討議するなかで、専門知識(ロジック)と共感(情緒)の融合が議論されました。問題の解決策を導き出す「なぜ」を問う前に、「スリーサークルモデル」を利害関係者の立ち位置を整理するだけの平面的な活用ではなく、「立体的な柱」や「球体」として捉えてみるなど、多面的に捉えることで、スリーサークルの「どこ(どこの領域)」で問題が起きているかを見極める知恵も共有されました。
ファミリービジネスアドバイザーに求められるのは、単に「できる人」であること以上に、当事者の靴を履くように「理解し共感してくれる人」であることです。答えを急がず、白黒つけられない「宙ぶらりんの状態」に耐える力、すなわち「ネガティブ・ケイパビリティ」こそが、FB特有の複雑な葛藤を解きほぐす鍵となります。
安易に答えを求めず、まずは外部の専門家として、歴史も含めたファミリービジネスを深く理解すること。そして関係者の方々の想いを聞き入れ、全員の「共通目的」を確認するお手伝いをすること。ファミリービジネスアドバイザーとしての存在価値をそんな風にまとめさせていただきました。

7. クロージング

一般社団法人日本ファミリービジネスアドバイザー協会 理事長 武井 一喜

⚫︎各セッションの深い振り返り:

  • 崎陽軒の野並会長のお話からは、親子の対話や歴史の中に、目に見えないファミリー独自の「文化的なDNA」を感じました。
  • 大川印刷の大川社長のお話からは、時代に合わせて経営手法がガラリと変化しても、先代から受け継がれた「大切な使命(思い)」が力強く引き継がれている様子に深く感銘を受けました。
  • パネルディスカッションを振り返り、家族の間で意見が合わないなどの「辛い議論」の場を支え、決裂しないようにその場をホールドするには、アドバイザーが「共感(相手の立場に立って靴を履き、辛さを共に感じること)」する力が何よりも大切であることをメッセージました。

国のファミリーガバナンス・ガイダンスに対して、FBAAとして提出したパブリックコメントでは、「ビジネスの視点に偏りすぎず、ファミリー側の幸せを考慮するスタンスを強めるべきだ」と提言したエピソードを明かしました。

最後に、FBAAの「3つのビジョン」を力強く語りました。

  1. 支援者たちが学び合い、励まし合える暖かい「プラットフォーム」となること。

  2. 「一社に1人のアドバイザー」を目標に、現在の約300名から、まずは認定講座を終えた仲間を1,000名まで増やすこと。

  3. 日本のファミリービジネスが社会から「尊敬と誇り」を集める存在にすること。戦後の悪いイメージを払拭し、実際には素晴らしい業績で日本を支えているファミリーの強さを認めさせ、そこで働く人々が胸を張って笑顔で暮らせる社会とすること。

と熱い夢を語られ、暖かい拍手とともにフェスタは幕を閉じました。

最後に

「健康なファミリービジネスを日本に増やす」。
このビジョンのもと、横浜で灯された希望の火を、次回の「FBAAフェスタ2027(東京開催)」へと繋ぎます。本イベントは、日本のFBがその誇りを取り戻すための、継続的なムーブメントの重要な一歩となりました。
登壇者の皆様、多大なるご支援をいただいた協力企業の皆様、そして共に学んだ109名の皆様、本当にありがとうございました。
日本の未来を創るのは、私たちの「開かれた心」です。
また来年、東京でお会いしましょう!

■ FBAAフェスタ2026実行委員

亀ヶ谷正信(FBAAフェロー・実行委員長)
阿部敦史様(FBAAフェロー)、長田有司様(FBAAフェロー)
齋藤稚亜子様(FBAAフェロー)、高田佳遠須様(FBAAフェロー)
田邊さおり様(FBAAフェロー)、待井秀祥様(FBAAフェロー)
望月俊輔様(FBAAフェロー)、山下絵理様(FBAAフェロー)
武井一喜、小林博之、武井芳三、上田雅美

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