FBAA第59回定例セミナー 開催レポート
「伝統を守りながら変わり続けることの重要性」

FBAA第59回定例セミナー

FBAA第59回定例セミナー 開催レポート
「伝統を守りながら変わり続けることの重要性」

主な講演内容

「経営者である夫にもしものことがあったら・・・」

オーナー夫婦にとってこのテーマはあまり積極的に話し合いたい話題ではないようです。
ある調査によると、「夫と事業承継のことについて話し合ったことがない」という夫婦は7割ほどとされています。
ほとんどのオーナー夫婦はこのことについて何も手を打っていないとも言えるかもしれません。

日本ファミリービジネスアドバイザー協会では、「ファミリービジネスにおける女性の役割」について長くテーマとして扱って参りました。
ビジネスのオーナーは男性に限りませんが、なかなか表面化されない「妻の役割」について考える機会としたいと思います。

今回の定例セミナーでは、「幻の手羽先」が人気の居酒屋「世界の山ちゃん」をはじめ、
全国に81店舗の飲食店を展開するエスワイフード代表の山本久美氏をお迎え、以下のテーマでお話しいただきます。
1) カリスマ創業者だった山本重雄氏の急逝に伴い、社長に就任 された経緯
2) なぜ、山本様には前社長の想いを継いで経営することができたのか?
3) 山本様ご自身の経営に対する考えや実践について

本セミナーでは、
「オーナーの夫婦やファミリーの会話のきっかけづくり」「オーナーファミリーのサポートを考える」
ことを意図して開催いたしました。

講師プロフィール

山本 久美 様 株式会社エスワイフード 代表取締役

1980年 名古屋市立守山中学校入学。バスケットボール部に所属し、3年間全国大会優勝を果たす。
1990年 愛知教育大学卒業後、名古屋市内小学校教諭となる。小学校男子クラブチーム(ミニバスケットボール)の監督として全国で3度優勝。
2000年 結婚を機に退職。居酒屋チェーン「世界の山ちゃん」を運営する株式会社エスワイフードへ入社、役員となる。
2016年 8月に夫である前会長 山本重雄の急逝により、株式会社エスワイフード代表取締役となり、現在に至る。

 

セミナーレポート

合同会社コーチ・コンパス 代表社員 矢頭聖子(FBAAフェロー6期)

今日は待ちに待った山本久美氏のご講演。2021年にTV「セブンルール」でドキュメントを視聴し、ぜひともお話を聴きたかった方です。
会長であるご夫君の急逝、社長就任、コロナ禍の中の会社の梶取りなど、知りたい事が満載で、まさにそれが叶った瞬間でした。
「伝統を守りながら変わり続けることの重要性」講演テーマは、ファミリービジネスの究極の課題でもあります。

講演では
①会長の急逝に伴い会社を継ぐことになった経緯
②なぜ素人であったにも関わらず、経営ができたのか
③経営についての考えと実践
についてお話くださいました。

そしてお話を通じて、「スポーツを通して私の基礎をつくる」山本氏の中学3年間のバスケットボール選手としての経験と学びがあることが伝わってきました。
また、社員さんの顔と名前をすべて覚え、見守り、声をかけ、承認することなど、山本氏の経営者としての「在り方」がとても印象的でした。

また、会長への信頼と尊敬もお話の端々から伝わり、ご生前のご夫婦の関係性が、今を支えているように感じました。
更に、経営者のご友人に「私間違ってない?」と、ただ聴いてもらうというお話を伺い、FBAAのフェローとして、経営者にとってそのような存在でありたいと強く思いました。

この度は素晴らしい機会をいただきありがとうございました。

参加者の声(アンケート感想)

社是「立派な変人たれ」は奥が深く、大変参考になりました。社員さんと考えられたのが素晴らしいです。(清水 直子 様)
経営者の妻が家庭でどこまで仕事の話の相談に乗るかなど、家では気分を変えてもらえるように留意していたとのお言葉に深く共感しました。「なんでも話し合える夫婦」を理想と考える独身者の方も多くいるためです。
山本重雄さんを継承しつつも、新しい時代を形成されている。老舗企業が世代交代で継承する際の参考になります。会社方針を作成され、幹部と決定した施策を実行されている姿に、こちらはエネルギーをいただけました。この機会に感謝いたします。(FBAAフェロー 堀井 智史 様)
大変なスタートから現在までのご経験をシェアしてくださりありがとうございました。私も5年前に夫と死別し、法人を引き継いで今、奮闘しています。しかも同じ名前で、勝手に親近感を持っていました。 実際にお話を伺って、久美さんの資質の素晴らしさとそれを生かしておられることが秘訣なんだなぁと感じました。私とスタッフたちにとって今後に活かせるヒントをたくさんいただきました。 悲しみは何年経っても消えることはないですが、ご自身を活かしお子さんや周りの方々とサポートし合いながら生きておられる姿が励みになります。ありがとうございました!(伊藤 久美 様)
突然の出来事から、会社の代表を預かる覚悟をされるまでのお話、6年半という長いようで短い期間の中で、会社を維持・発展されながら、社長を探して来られるまでのお話、とても濃密で貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。 誰でもできることでは決してないと思います。山本代表の意識と能力の高さを感じさせられました。 明文化されていなかった創業の精神を明文化されたことなど、きっと会長さんがご存命だったら、どこかの段階で、山本代表にご相談されながら作成されたのではなかっただろうかと思いました。 経営者の妻の研究の中で、専業主婦の奥様を、「コーチ型おかみ」と仮に呼んでいます。 社長が24時間戦えるようにと支えて来られた奥様だからこそ、従業員さんと一緒に明文化していく中で、とても効果的なフィードバック、壁打ちの役目を果たされたのではないかとご推察しました。 大阪にも3店舗あるとのことですので、お店に行って手羽先を食べること、「てばさ記」を読むことを楽しみにしております! 本当に ありがとうございました。(FBAAフェロー 野村 早希 様)
組織を成長するために、まずは、自己開示を行いそのうえで、従業員さんに対して、承認欲求を上手に活用されているなあと思いました。その根底にあるのは、中学生の時のバスケでキャプテンをされていたとのこと。リーダーシップ力で、チーム一丸となるための人間力がそなわっているのかなと思った次第です。とても勉強になりました。ありがとうございました。(FBAAフェロー 魚路 剛司 様)
経営者自身の人生経験(スポーツで選手としても監督としても、全国1位を達成したこと)によって培われた目標に取り組む姿勢、考え方やその術。それが後継経営者として、目の前に立ちはだかる困難や障害をブレークスルーする際に非常に役に立たれたことが拝察できて、大変参考になりました。ありがとうございました。(FBAAフェロー 新屋敷 辰美 様)
オーナー様の突然のご逝去という最大の危機を乗り越えられたリアリティを学ばせていただきました。小生お客様も同様の方がいらっしゃいましたが、何とか危機を乗り越えられ、元々主婦でいらっしゃった方が今はオーナーをなさっておられます。その時のご苦労をあらためて痛感した次第です。このような貴重なお話を拝聴できて幸甚です。本当にありがとうございました。(FBAAフェロー 朝日奈 進 様)
大変貴重なお話を聞かせていただき感謝申し上げます。 てばさ記発行ご判断の際の顧客への配慮なのか、という問いをされたエピソードに胸打たれました。
ファミリービジネス承継者として、今この会社に求められている役割や取るべき手法をご選択され、実践してこられたエピソードに大変多くの学びをいただきました。託児所つきの店舗も、大変ありがたく、活用させていただきたいです。どうもありがとうございました!(FBAAフェロー 五十嵐 寛之 様)
経営者としての覚悟を、生々しい実体験も踏まえてお聞きできて良かったです。「社長」ではなく「代表」というお話も、講演を聞く中でしっくりときました。
大変なご苦労をされた貴重なご経験を共有いただき、誠にありがとうございました。 不幸にも、結果的に会長がお亡くなりになられたことで、成功企業によくある「同質化」「成功体験の罠」による思考停止に陥るリスクを、山本久美代表の胆力で、強みを残しながら、ボトムアップで変化する会社に改革されたかと感じました。これは(私の理解では)「不易流行」などの言葉でよく言われます、強烈なリーダーシップを発揮された創業者から後継者が目指す引継モデルと考えておりましたので、その貴重な事例を学ぶことができ、大変参考になりました。 この変革はご親族でなければできないことで、ご夫婦の絆の大切さの重要性、それをまた次世代へ引き継ごうとされていること、そのまっすぐなお気持ちにも大変感銘を受けました。(FBAAフェロー 鈴田 修士 様)

セミナー模様

FBAA第59回定例セミナー模様

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