なぜ熱き仲間たちはFBAAに集まるのか?

FBAAには、ファミリービジネスアドバイザーを目指す有能な仲間たちが集まっている。

コンサルタント、エグゼクティブコーチ、ファイナンシャルプランナー、税理士、司法書士、弁護士など、いろんな角度で企業に携わる専門家や、ファミリービジネスど真ん中で経営にあたっている社長や役員が参加している。

私は弁護士として、ひごろ中小企業のトラブルの解決や予防にあたっており、経営者が本業に専念できる環境づくりを使命としている。

経営者と話していると必ずと言っていいほど家族の話が出る。父が創業したこの会社をどう成長させていけばよいか。自分が今日まで育てたこの会社をいつ息子に引き継ごうか…。

企業を法的にみれば、会社は「所有と経営」、「株主と取締役」という2つの視点で捉えられる。

もっともファミリービジネスでは、それに加えて「ファミリー」という3つ目の視点で会社をとらえる。

この視点は、新鮮かつ説得的である。

ファミリーだからこそ永続してきた企業の強み、ファミリーだからこそ湧きあがる会社への愛着。

これを感覚としてだけでなく学問として学び、それを専門家としてのスキルに加えられたら、クライアントにきっと有益な力添えができるのではないか。もっと喜んでもらえるのではないか。そう確信した私はFBAAの門をたたいた。

FBAAに集まってきた仲間たちは、熱く高い志を持った方々ばかりであった。様々なバックグラウンドをもちつつ、それに飽き足らずファミリービジネスへの貢献に意欲的に取り組む方々であった。

この出会いはうれしかった。

初回のクラスから議論は大いに盛り上がり、皆積極的に発言する。長々と自分だけの話をする人はいない。自分の持つ情報や経験を、クラスへのギフトとして惜しげもなく提供し、それに対するメンバーのリアクションも建設的で豊かであった。

そんななか、いい意味で痛恨な思い出がある。

2代目社長の悩みを扱ったケーススタディであった。ファシリテーターが意図的に振り分けたのだろう。コンサルチーム、コーチチーム、士業チーム、社長チームに分かれてのディスカッションだった。

ディスカッションの後、各チームが発表したら、全く同じケースだというのに、事案の見方や切り口、アドバイスの内容がチームごとに全く違っていた。

コンサルチームはいかにそのビジネスを盛り立てていくかに主眼をおき、コーチチームは2代目社長のビジョンやポテンシャルに注目し、士業チームは法的視点からのアドバイスを組み立てていた。

そして最後に経営者チームから出た発言がこうだった。

「そうやって皆さんはいろんなことを言ってくれる。それはそれでありがたいんだけど、当事者である僕たちのことを、ほんとに分かってくれてるのかな?なーんにも分かってないんじゃないですか?」

確信をついた発言であった。

決して場が凍り付いたわけではなく、はっと気づかされ、深く考えさせられ、歓迎される発言であった。FBAAの仲間だからこそ、本音ベースででてきた発言であった。

専門家を自称する私たちが懸命に考えて提供したアドバイスも、それは経営者にとっては一面でしかすぎない。もっと広くもっと深いところで経営者は悩み、行動し、リーダーとしてふるまっている。

そういう経営者のために、会社のために、アドバイザーに求められる役割は何かを改めて考えた。

そして、その解へのヒントが、まさにこのFBAAにあると確信した。

これだけの専門家が集まり、知恵を出し合い、気兼ねなく意見を交換し合い、ファミリービジネスにふさわしいアドバイザーになろうと研鑽している。ここにはファミリービジネスの歴史、学問的論考、専門家の知見、経営者の現場の声、あらゆる素材がそろっている。

『選ばれるプロフェッショナル』(原題:Clients for Life)という著名な書籍の一節が思い出される。

-多くのプロフェッショナルは答えを出すことにとらわれ、自分は「専門家」だと認識し、優れた分析をし、専門特化することに励んでいる。それに対してクライアントは、プロフェッショナルが適切な質問をし、深いだけでなく幅広い知識を提供し、分析のみならず大局的な考え方を示し、一方的に話すだけでなくこちらの話にも耳を傾けてくれることを望んでいる。

-そのために、我々は〝ディープ・ジェネラリスト″にならなければならない。ディープ・ジェネラリストとは、専門知識の上に関係する知識を積み重ねた者、広く深い知識を独特の方法でブレンドして身につけた者のことであり、プロフェッショナルとしてのブレークスルーを起こす重要な要素である。

真のプロフェッショナルになりたい、ディープ・ジェネラリストになりたいと真剣に考え、日々実践している人々が見つけた場所、それがFBAAである。

なぜ熱き仲間たちはFBAAに集まるのか?

真のプロフェッショナルになる道を、FBAAの仲間と切り拓いていきたい。

Top