次世代のファミリービジネスを作る会

現在、弊社では月1回、「次世代のファミリービジネスを作る会」という勉強会を開催しています。

当社の本業は就職情報サービス。

企業の新卒採用、中途採用を支援することが事業の中心で、クライアントの多くが東海地区の中小企業となります。

 

東海地区は製造業の割合が高く、歴史が長い企業が多いのが特徴のひとつ。

その大半が同族企業、ファミリービジネスです。

現在では2代目、3代目が経営者として会社を牽引するケースがほとんどといえます。

その企業が抱えている課題は、まさに私たちがファミリービジネスアドバイザー認定講座で学んだ内容と一致します。

いくつかのクライアントの相談を個別に受けているうちに、この勉強会を立ち上げることにたどり着きました。

 

昨年の10月からスタートして、毎回2時間、10~12名のファミリービジネスの経営者また経営者候補の方と情報共有をしています。

参加者の立場も様々です。

一番多いケースは創業40~50年の2代目経営者ですが、創業90年4代目の娘婿、10年後に引き継ぐ予定の3代目専務、雇われ代表取締役専務と各社ごと状況は異なります。

第1回目の開催は思い切って自己紹介の時間を長めに取り、一人あたり10分程度話をして頂きました。

自己紹介の内容は、業種、社歴(創業、設立)、○代目(候補)、社長歴、FBにおける課題と一般的な自己紹介より深く掘り下げました。

この場の話は他言無用を約束に、現状について生々しく語ってもらったのです。

 

するとどうでしょうか。

自己紹介だけで勉強会の2時間が終了してしまうのではないかと思えるくらい出席者は熱く語られました。

業種、規模、立場は違えども、同じような環境で仕事をされている安心感が参加者に火をつけたとも考えられます。

このような場はありそうであまりない。

自身の課題や悩みを誰かに話したいのだけれど、お互いの立場が理解できないと話せない、そんな背景があることを理解しました。

私自身は興味深く聞きながら、時折、突っ込んだ質問で、さらに掘り下げてもらいました。いい機会を持てたという瞬間でした。

我々、ファミリービジネスアドバイザーの果たすべき役割は多いでしょう。同族企業のオーナーに寄り添い、コンサルティングする業務もあるとは思います。

 

一方で、同じような課題を持つ経営者同士を引き合わせ、そこでお互い情報共有をし、各社の取り組みをリアルに学びあう。

そんな場を作ることもファミリービジネスアドバイザーの役割として捉えてもいいのではないでしょうか。

特に私のような専門性のない資格保持者にはその「キッカケの場」を提供することも大切な仕事だと認識しています。

この勉強会の開催はまだ5回ですが、FBAA関係者など多くの方に協力を頂いています。

その都度、参加者は新たな学びと刺激を受けています。

 

こんなこともありました。

「創業の精神、経営理念の重要性」についてワークの場での出来事です。参加者の温度差の違いを痛烈に感じたときでした。

各社の経営理念とその大切さを発表してもらったのですが、社員さん全員に浸透させ、それもお飾りではなく実践に結び付けているお手本のような会社もあれば、慌ててスマホで経営理念を確認する会社、企業理念はないという会社もありました。

慌ててスマホで確認した会社はホームページを開設する際に経営理念をそれに合わせて作成したといいますし、経営理念をはないという会社は、創業者は儲かる事業を見つけ、そこにチャンスがありそうだから事業をスタートさせたといいます。

このようなケースはレアではなく、多くのファミリービジネスでも存在することではないでしょうか。

 

勉強会を通して、経営理念の重要性を肌で感じてもらう、気づきを得ることも重要ではないかと考えさせられました。

この会を運営する当社もまだ手探りです。経験を積み重ねることで、ノウハウを築いていくしかありません。

このような勉強会を重ねることで、世間にファミリービジネスの認知が高まり、少しずつでもその重要性の理解が深まる活動を推進していく考えです。

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