ソーシャルメディアマーケティング最前線 〜ファミリービジネス、ベンチャーにおける活用〜

・講師:松林博文氏 グロービス経営大学院(MBA)・講師

池田紀行氏 (株)トライバルメディアハウス・代表取締役社長

・日時:2014年7月4日(金)14:00〜16:00

・場所:銀座フェニックスプラザ(中央区銀座)

 

以下は、第9回FBAA定期セミナーにて、前半を松林博文氏から学術面で、後半を池田紀行氏から実業面で、ご講演いただいた内容を書き起こした要約です。スピードとテンポ重視で臨場感のある口語体での編集としましたので、少し長いものになりましたが、お楽しみください。

【松林博文氏】

グロービスマネージメントスクール大学院の講師をやっております松林博文と申します。半分ぐらいは自分でマーケティング経営と経営戦略のコンサルをやっています。

20年ぐらい前からインターネットっていうものにとても興味がありました。アメリカのビジネススクールにいた時に自分の履歴書をインターネット上にアップするっていうことをやりまして、その時にアメリカの有力企業が、私の履歴書をインターネット上で探してくれ仕事を得ることができました。ですから当時からインターネットの力っていうのを非常に実感することができたのです。Windows95発売される前がWindows3.1っていうのがあって、その前っていうのがパソコン通信っていうのがありまして、自分でプログラミングをして会話するっていうようなものがあったんですね。その後オブジェクト志向っていうもので、例えばWindowsで見ると、それぞれの目的に応じて対象をクリックすると簡単に作業ができるようになりました。ここで何が起きてきたのかって本質的に考えてみると、今までは一部のプログラマーだけのものそして、研究対象でもあったパソコンっていうのが、急速に民間に対して開放されていくっていう時代を我々は経験してきました。

で、何が起こったかというと、1つはビジネスにおける革命です。ビジネスにおけるインターネットの活用っていうのが今までどうなってきて今後どうなるかっていうことを、注意深く見てく必要があるでしょう。ですから今日のテーマっていうのは池田さんがこのソーシャルビジネスにおいて日本では最先端で、ずっと広告畑で活躍されているけれども、これまでの広告ではいけないって多分思われたと思うんですね。そのソーシャルメディアに関して色々リサーチしていくうちに、浮かび上がってくるキーワードは何かっていうと、池田さんが広められている「共創」という概念で、コ・クリエーションとかコ・イノベーションと表現されることもあります。共に何かを新しいものに作っていく時代になってきましたよということです。時にはコラボレーションと言われる場合もありがす。私のクライアントの半数は実はアメリカ企業で、残りの半数は日本企業かアジア企業なんですけれど、使われる言語っていうのが企業内で全く違うってことに気づいていくわけですね。一番の違いっていうのはアメリカ企業、特にIT周りの企業っていうのはコラボレーションっていうキーワードをこの7、8年ものすごく沢山使ってますね。極端なこと言うとコラボレーションできない企業っていうのは今後生き残っていくことは難しいです、っていうぐらい言っています。Collaboration or die、あなたの企業っていうのはコラボレーションできますか?

ミシガン大学の経営戦略の恩師であったC・Kプラハラードという先生がいるんですけれども、彼は「コア・コンピタンス」という本を書いてます。それと「Competing for the Future」という本を書いてるんですね。で、彼が20年前に言ってました、彼自身もこれからの例えばマーケティングだけじゃなくって、経営そのものがコラボレーティングなモデルに変化していくに違いなと予測してるんですよ。で、当時多くの日本人は何言ってんのかわかんないと。経営戦略でコラボレーションってどういうことだという感覚を持たれた日本人が多かったんですけれども、でも今実際例えばスマホの中のiPhone見た時にアプリっていうのは殆どコラボレーションで生まれているわけですね。で、アップルっていうのはそれに対してひとつのプラットフォームを提供しているというふうにビジネスモデルが非常に変わって来てます。で、ここで議論できるのはそれってIT企業だからやるんじゃないっていう議論と、いやいやそのモデルっていうのは製造業だったりとかIT企業以外のビジネスモデルに対しても大きな影響与えるんじゃないかっていう議論がアメリカでずっとされてきました。

この議論っていうのは日本ではあまり実は行われてなくて、戦略といえばなんかマイケル・ポーターに代表されるように、5つの力などの外部環境調べ3Cモデルで、市場競合自社を勘案して戦略を立案するのが一般的です。ここで注意すべきポイントっていうのは例えば3Cモデルっていうのは、顧客と自社を分けてるんですね。カスタマーとカンパニー、内的環境外的環境に分けて、そこから帰結する戦略。ところがコラボレーションモデルって何かっていうと、お客さんと自社の境目がどんどんなくなっていくことも示唆しています。で、実際去年の末に出した本「実況マーケティング(PHP出版)」を執筆するために、最近の事例をずっと調べてみたんですね。すると、やっぱりリーマンショック前とリーマンショック以降でアメリカ企業の戦略が、相当変わって来てるっていうことに気づくわけです。

P&Gにしても、R&Dの時代は終ったと言っています。極端なこというと。リサーチ&ディベロップメントつまり、基礎研究と応用研究ではなくって、コネクト&ディベロップメントって言ってんです。コネクトつまり顧客と協調することです。P&Gは、MBAを出るととりあえず入りたい企業、マーケティング大学院って呼ばれてるんですけれども、そこに優秀な人が来るのでその人達を囲い込んでいい製品開発とブランド構築をするっていうのが今までの戦略でした。そのP&Gが私達は傲慢でしたと、今まで自分達は賢い集団と思っていたけれども、賢い人達は社外にいっぱいいるっていうことに気づきましたっていうふうに公に語りはじめました。で、その後何を言ってるというと、どうか私達と一緒にビジネスをしませんか。もっと言うと、問題解決を共にしませんかっていうことを言い出してる。そこでもっと調べてみると、ユニリーバも、どんどん社会問題解決型経営戦略に変わってきている。例えば、アフリカで水が飲めない人がいっぱいいるから、その人達に対して綺麗な水を提供するっていうのは私達のミッションとしましょうと。ただそれを解決するには社内のリソースだけでは不十分ですから、社外から色んな意見を募集しますというふうに変わって来ています。これも大体リーマンショック以前ということで変わって来てるんですね。そうやって見てみると、アメリカ企業で今伸びてる企業っていうのは、殆どリーマンショック以前と以降で根本的に態度が大きく変わってきている。

ソーシャルメディアやってる人はエンゲージメントと呼ばれるキーワードで言われるんですけれども、関わり方が根本的に変わってきたのかなっていうのはこの10年ぐらいですね。お客様と継続的に関わっていくっていう時代に変わって来たと。そこにキーワードとしてはソーシャルということがあるということですね。

もう少し目を広げてみるとマーケティングっていう視点があって、上位概念として経営戦略があって、されにそれらを取囲む社会問題があるわけですね。これをどうやって繋いでいくのかっていうのが、進んでる企業は真剣に考え出しています。「マーケティング3.0」という本をコトラーさんが出して7、8年経ちます。コトラーが言ってるのは3つあります。1つはこれからの企業は社会問題解決型にならないと駄目だと、いうことで、売りたいということじゃなくて世の中にある社会問題をどう解決していくんですか? もう1つがこれ非常に微妙な言葉使ってるんですね、不思議だなと思ったのは、スピリチュアルって言葉使ってるんですよ。ビジネス界ではタブー語言語なんですね。ただ、コトラーがそういう共著でインドネシアのアジアの人達と一緒に書いてるんですね。原著ではSpiritualという表現してます。その解釈は皆さん自身に委ねたいと思うんですけれども、これからのビジネスとは切り離せない問題かなと思うんですね。最後の1つがコラボレーションということで、マーケティングにおいてコラボレーションが非常に重要だと。ここの3つっていうのをどう押さえていくかっていうのが、非常に重要になってきてるのかなと思います。社会性、スピリチュアル精神性そしてコラボレーション、この3つをもって、コトラーのマーケティング3.0の時代になってきたよと語っています。

少し、マーケティング2.0について語りたいと思います。独占的だった市場に対して複数の競合が入ってくると、消費者は選択肢ができるという時代に移行しマーケティング2.0の時代になるわけです。市場競合自社分析を行いターゲット市場を企業は意識します。マーケティング2.0において重要な概念っていうのは「ポジショニング」っていう概念です。自分が「相手にどのように認識されるのか」っていうことを深く考えるっていうのは実は非常に深いテーマです。単なる物理的な製品開発ではなく顧客へのバリュー・プロポジションが必要です。価値提案っていうものっていうのは製品開発だけじゃなくってその先に深く行われる必要がある。ここ一貫していくっていうことが必要であると同時に、場合によるとある種企業内リバースイノベーションって僕は呼んでるんですけれども、顧客立ちポイントから逆算するような製品開発をもっとやっていいんじゃないかと。どういうことかっていうと、シーズ開発だけじゃなくって、お客さんがどういう経験をしてるのかっていうことを想像してから開発を進めると、いうような時代に変わって来てるのかなと思います。当然今までのような基本的なR&Dは押さえつつ、そっちも目を入れればどうでしょうかということなんですね。卑近な例でいうと、パッケージングとネーミングを変えるだけで10倍以上売れてるケースって非常に良くあるんです。カネボウフーズさんの「栗むいちゃいました」っていうことでレジの横に置いたわけです。あれは何かっていうとパッケージ開発とネーミング開発をやってるわけですね。で、多くの人は殆ど栗を開発しようとしてるんですよ。新しい天津甘栗ってどっかないかっていうのと、どういう煎り方で美味しそうに焼ければいいんだっていうことを考えてるわけ。それだけじゃなくって8つぐらいでいいんじゃない?つまり中華街行くとあれガサッとやられてバッて入れられるわけですよ。あれ全部食えねえって思った人いっぱいいるんですけれども、で、歩きながらだと上手く剥けないっていうのは剥いちゃいましたって言っただけで売れるっていうのはシーンに応じた価値提案を行なっているためです。

ネットやソーシャルのインパクトが強くなっていくにつれて経営戦略すら根本的に再考する必要が出てくるのかもしれません。今の戦略で本当にいいんですかということです。これは本当に深く考えるべきポイントで、ロンドンビジネススクール教授のゲイリー・ハメルが、多くの組織体と意思決定のプロセスはもう完全に時代遅れになってるっていうことを10年前から言ってますね。インターネットにもう少し注目した方がいいよっていうのをゲイリー・ハメルがずっと言ってます。経営者はインターネットで起きてることをもっと学ぶべきだと。彼は経営学の専門家です。で、冗談交じりで言ってるんですけど多くの組織はまだまだピラミッドっぽいと。つまり社長が意思決定をやって幹部がいて、その後従業員がいて、下手したら一番下に消費者がいると。だからどっちが偉いのかわからないと揶揄しています。そこで、彼が提唱してるのはネットの世界見てみたら殆ど上下関係ないでしょ、1人の人が組織や、時には国よりもインパクトを出せるような時代になってきているのに、今までと同じような組織体でいいのかどうかっていうことが非常に疑問だということです。彼の本が日本でまだ流行ってないのが不思議です。組織はもっとパンケーキになろうよって言ってるんです。ピラミッドってなんか固そうですよね。変化の激しい時代において固くて重いピラミッドは不向きです。パンケーキっていうとなんか楽しそうですよね。楽しそうっていうのが組織にとってとても大事になります。特に今日のテーマでもあるソーシャルメディアの時代においてはよりそうなるでしょう。

真面目すぎるところっていうのはソーシャルの世界では受けないっていう感覚は持ってまして。いわゆる企業のホームページとは若干違うんですよ。ここってすごく微妙なニュアンスで、堅苦しいホームページをそのままソーシャルに落とし込んで失敗する事例っていっぱいあるんですね。極端なこというとイケてない、と思われてしまいます。固すぎる。遊び心がない。上から目線だって言われるとソーシャルからスーッと人が去っていくということが起きます。ネットでホームページで成功した事例をそのままソーシャルで持ち込んで大失敗する事例とかもいっぱいあるんですね。有名人を多用して失敗してしまうこともあります。何が起きてるのかって関係性が非常にフラットになってきてるなということと、これまでの組織の意味合いが根本的に変わってきてるなということです。あとソーシャルって非常に味わい深い言葉ですよね。社会的とか社会性。別の言葉で言い換えるとこれ関係性というふうにも言い換えられます。関係性が変わると、僕自身が思うにはマーケティングが変わっていくし、もっと言うと組織の意思決定プロセスっていうのが変わっていくんじゃないかっていう、感覚は持ってます。関係性どんどん変わっていきますよということですね。企業が消費者に対して何か一緒にやりませんかとか、場合によっては何かお困りのことはないですかっていう態度です。でも、その態度とマナーに慣れていない企業っていうのがまだまだ多いですね。

今日の日経の紙面見られた方っていうのはFacebookが動画の会社を買収しましたと。楽天が動画を使ったプロモーションに対して楽天大学でクライアントに教えるようになりました。何かっていうと、動画を押さえるっていうのがこれから非常に大事になってくるということですね。

既にスマホとタブレットが当たり前になってきてるわけです。スマホとタブレットが当たり前。今若い人の接触の多くはスマホとタブレットだけなんですね。もうパソコンを全く使わない人も増えています。今、中小企業の採用活動のお手伝いをやってるんですけれども、採用マーケティングができてない企業はこれから非常に厳しくなってきます。若い人は転職活動の情報収集もスマホでやってるわけですね。で、スマホ対応できてない企業サイトを見た時に、センスのいい学生はそこにまず来ない。遅れている企業と判断します。ここでは自分感性を発揮できる気配がしないと。対外的なマーケティングだけでなくインターナルマーケティングも非常に重要です。優秀な人を繋ぎ止められなくなり企業力が弱まる。例えば私は企業に、定例会議の数を減らしワークショップとブレインストーミングを増やしませんかと提案してます。あるユダヤ系アメリカ人のハワードゴールドマンというビジネスコーチと話したときに彼は企業の会議の質を高めると業績はすぐよくなると言っていました。その1つの事例として参加者に必ずポストイットにアイデアを書き出してもらうというものがありました。イノベーション力をアップするためには会議の質をアップする必要があります。多くの日本企業は会議手法の改革や改善が求められています。多くの日本企業の会議っていうのは非常に内向きになっちゃうんですね。プロセスと共に会議への参加者の多様性も今求められていると思っています。

ファミリービジネスに関して少しお話します。私ワインが好きで、それでインターネットのワイン販売のお手伝いをやっています。神田にあるヤナギヤというワインショップです。僕がアメリカにいた時に、現地ではワインのネット販売が急速に伸びた時期がありました。これすごいなって思ったんですよ。僕がアメリカいた時にヨーロッパのワインを発注して日本に送ったんですよ。これはワイン小売が変わっていくと直感的に思いました、当時僕はミシガン大学で大学生の授業に混じってシンプルなプログラミングを勉強して、最初は手作りのワインショップを立ち上げました。実は後継になるはずの息子さんはワインをあまり好きではありませんでした。だから息子さんはワインショップを継ぐ気持ちはあまりありませんでした。ところが彼はインターネットネットやパソコンは得意でした。ネットでワインを販売するなら面白そうだということで結果的に現在は三代目として息子さんがヤナギヤの代表をつとめられています。現在は8割近くがネットを通じて販売されるようになりました。

現在ではアップルのiPhoneは日本でも当たり前のように使われていますが、振返ってみると95年96年はアップルの存続さえ危ぶまれる時期もありました。その後のアップルの復活は皆さん御存知のとおりです。ちょうど去年スティーブ・ジョブズのことが映画になりました。その一部はYouTubeでも公開されています。彼はインタビューの中で次のようなことを言ってるんですね「私(ジョブsズ)はアップルの成功のアイコンとして持ち上げられてるけれどそれは短絡すぎる。優秀な人達を集めて徹底的に議論して新しいものを生み出してきた」と。その人達はアップル社内のみならずあらゆる業界の優秀なメンバーを集めてブレストをしてきたようです。そのような熱のあるオープンな議論から今あるiPhoneやiPad が生まれてきたのでしょう。

長々とごめんなさい、ではそろそろ。池田さんの出番ということで、

では池田さん、お好きなように。

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